”今度の島サミットの見所は何か? 渡邉昭夫”
当方の恩師、笹川太平洋島嶼国基金二代目の運営委員長、そして何よりも戦後初の日本の安全保障政策「樋口レポート」を実質的に執筆された渡辺昭夫先生から質問をいただいた。
回答はブログにもあげます、とお伝えしたのでここに書かせていただく。
1.1992年に開始した日本のプルトニウム輸送対策、対PIF対策として開始し、位置づけられた島サミットが、本来あるべき姿に変貌した。その背景には3.11と、島嶼国外交を重視する安倍政権がある。
2.冷戦下において、秩序を維持し存在し得た小国である島嶼国が、伝統的援助国の欧米諸国の支援を失いつつある中、中国、ロシア等の、非伝統的援助国の接近や、また非伝統的脅威(あらゆる越境犯罪)の温床となっている現状に対し、日本の本格的支援が、米豪等から期待されている。
3.米国政府が誰を出して来るか、によるが、太平洋問題を豪NZだけではなく、米国との関係で見ていく、即ち日本の海洋外交、日米同盟の新たな幕開け
3については、今回米国からの参加はない、という。
どうしたのであろうか?早速米国務省の友人に連絡したところ来週電話で話したいという。つまりオフレコではないと話せない何かがあった、という事だ。
米国の参加は前回の島サミットから。これは外務省大洋州課課長(飯田慎一氏)からアドバイスを求められ、当方が提案した事である。なお、外務省課長は笹川会長から「早川に聞け」とい言われて連絡してきたのである。
1についてだが、過去の島サミットは残念ながら、官邸主導ではなかった。主導したのは外務省と電事連。よって、支援内容に政策が欠けていた。(第1回島サミットでODA案件となったUSPNetは当方が94年辺りから画策していたものである。)
安倍政権の太平洋外交は昨年の豪州、PNG訪問を見てもわかる通り。今日の島サミット本会議の成果が待ち遠しい。
2については、2点あって、一つは今回の島サミットの議案となっている海洋新秩序の事である。パラオのEEZ60万KM2に、海洋警察は25名しかいない。米軍がこの地域から撤退して20年。越境犯罪の無法地帯と化している。もう一つは「小国」の在り方。言い換えればウッドロー•ウィルソンの功罪。2万人の人口で国家としてやっていけるのか?答え。いけない。よってカジノやマネロンが蔓延る事になる。これをどうするか?
最後に「岸政権の外交三原則」*
安倍政権の対太平洋島嶼国政策も同じ路線であろう。ニウエを国家承認し、10数カ国の票の確保こそ国連外交である。
太平洋島嶼国は文化、歴史的に見れば海のアジアである。
そして、戦後のステータスクオ維持として、米豪NZとの協調は欠かせない。
岸政権と違うのは、UNCLOSができてEEZという小島嶼国では管理不能な主権が拡大した事である。
*1「国連中心」、2「自由主義諸国との協調」、3「アジアの一員としての立場の堅持」