やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日・フィジー首脳会談

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以下、官邸のウェッブから。

【平成27年5月19日、安倍総理は、総理大臣官邸でフィジー共和国のジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ首相と首脳会談等を行いました。

まず、儀仗隊による儀礼に続き、両首脳は会談を行い、その後共同記者発表を行いました。】

http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201505/19fiji.html

いったいどれだけの関係者がこの瞬間を待ちわびたであろう?

フィジー外務省には速報で入っていると思いつつも、ついイノケ外相にご連絡してしまった。

フィジー問題は、イノケ閣下が在日大使をされている時から、ご自身からお話を伺う機会もあり、直接関わる事はできなかったが、私もずっと気になってきた。

<バイニマラマ政府が行った事>

過去10年、BRICSとの関係を強化する一方で、徹底的な国内改革を行ってきたのである。

数年前、フィジーの南太平洋大学で開催された学会に参加した。

至る所にバイニマラマ閣下の大きなポスターが、そして新聞記事が掲載されていた。

その内容は

「正直なろう。」

汚職を辞めよう」

そんなスローガンだったで、驚いた事を覚えている。

しかし、新聞のトップ記事を読んで、バイニマラマ閣下がそのようなキャンペーンをしなければならない状況が一瞬に理解できた。

空港で働く掃除婦が、現金の入った落とし物のバッグを正直に届けた。正直でエライ、という内容であった。これが記事になるのである。しかもトップ記事に。

日本であったらどうであろうか?

これは価値観の違いだけであって、優劣の話ではないと思う。

しかし、正直である事が安定した社会や経済発展の基本の「き」である事は、それが当たり前の国にいるとわからないのだ。

<地方改革。。。>

バイニマラマ閣下が過去10年に行って来た事は多々あるが、ひとつは地方、離島の開発である。

道なきところに道ができ、通信なきところに携帯が通じるようになった。

また、ルパード•マードック引き入るメディア帝国を解体した事もあげておきたい。

しかし、改革は常に痛みを伴う。

バイニマラマ閣下の改革によって職を失い、会社を失った人も多い。

狭い社会なので、そういう人々の恨み辛みは大きく社会に現れている。

<新地域主義>

現在太平洋島嶼国のテーマの一つが<新地域主義>。

簡単に言ってしまえば、フィジーと豪州の問題である。

フィジーが、島嶼国の声を、主権を守る為に作った太平洋諸島フォーラムから、豪州NZが制裁としてその創設者のフィジーを追い出したのである。

安倍・バイニマラマ会談で、バイニマラマ閣下が「第3者を介しない二国間関係を」と言った第三者とは豪州の事である。

ということは、日本は、多分外務省は、豪州と歩調を合わせてフィジー外交を行ってきた側面があるのであろう。