やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

参議院での太平洋クロマグロ議論(3)

平成27年5月21日の参議院農林水産委員会での舞立議員がクロマグロについて質問する前に、民主党徳永エリ議員がこの問題を取り上げていた。下記メモだけです。

この問題に関心のある人には興味深い内容だと思います。

クロマグロを巡る議会での議論、もっと探せば出て来るかもしれない。

それにしてもこのように国会議員が水産政策を熱く語るようになったのは良い事ではなかろうか?

ブリストル湾事件を見てもわかるように、日本の水産業(多分WWI以降)こそが国際問題を、反日、排日、戦争、そしてEEZまで導いた一つの要因なのだから。。

参 - 農林水産委員会 - 8号

平成27年05月19日

徳永エリ君 それでは続きまして、太平洋クロマグロについてお伺いしたいと思います。

 北太平洋におけるクロマグロ類資源の科学的評価を目的として設立された国際科学機関、北太平洋まぐろ類国際科学委員会、ISCの管理勧告を受けて、生息数が激減している太平洋クロマグロの資源管理を強化するために、今年から三十キロ未満の小型魚の漁獲量を半減させる、五〇%削減させるということであります。太平洋マグロの資源状況と漁獲量規制の現状について、改めて御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(本川一善君) 御指摘の太平洋クロマグロの資源評価を行う国際科学機関であります、ISCというふうに呼んでおりますが、北太平洋まぐろ類国際科学委員会、ここは、二〇一四年四月に、親魚の資源量が二・六万トンと歴史的に最低の水準付近まで減少しておりまして、これを回復させるには小型魚の漁獲の大幅な削減が必要であるとの評価結果を公表したところであります。

 これを受けて、同年の九月、中西部太平洋まぐろ類委員会、WCPFCというふうに申し上げておりますが、ここの北委員会は、三十キロ未満の小型魚の漁獲量を二〇〇二年から二〇〇四年の平均漁獲実績の半分に減少させるとの義務的な規定と、それから三十キロ以上の大型魚の漁獲量を増加させないあらゆる措置をとるとの努力規定、これを主体とする勧告案を作成して、これがその十二月のWCPFC年次会合で採択をされたところであります。

 我が国として、これを踏まえて太平洋クロマグロの資源管理に取り組もうとしておるところでございます。

徳永エリ君 そこで、具体的にお伺いしたいと思いますが、日本としては三十キロ未満の小型魚の漁獲量五〇%削減に向けてどのようにして資源管理の取組を行うのか、御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(本川一善君) 先ほど申し上げたWCPFCの規定によりまして、二〇一五年以降、我が国の太平洋クロマグロの三十キロ未満小型魚につきましては、年間の漁獲量を四千七トンに制限をするということが義務となっているわけでございます。

 これを受けまして、まずこの四千七トンを国内で大中型巻き網漁業に二千トン、それからその他の沿岸漁業に二千七トンを配分するという形にいたしまして、この沿岸漁業につきましては、全国六ブロックに分けて、それぞれ漁獲上限を設けて管理を行っていくということにしているところでございます。

 このような資源管理の導入に当たっては、全国五十か所以上で現地説明会を行ったり、全国会議を開催したり、あるいは都道府県の担当者と意見交換を行う。現在も都道府県が開催する説明会に水産庁職員が出席をして、その管理の手法の改善なりについて検討を行っているというところでございます。

 具体的には、各地の操業実態に応じてクロマグロ小型魚の漁獲が多く見込まれる時期の休漁でありますとか、小型魚の再放流、あるいは釣針の大型化、定置網の仕切り網の設置、こういったことなどの漁具改良、こういったことを検討し、取り組んでいこうとしているところでございます。

徳永エリ君 お手元にお配りした資料を見ていただきたいと思うんですけれども、二〇〇一年から二〇一〇年までの太平洋マグロの年齢別漁獲尾数割合を見てみると、漁獲尾数の大半は小型魚、体長三十センチ以下、体重も一キロに満たないゼロ歳魚と、体長六十六センチ、体重五・七キロほどの一歳魚だけで合わせて九二・六%。先日道南に行ってきたんですけれども、道南の漁師の方も網に入ってくる八割は三十キロ以下なんだよねという話もありました。

 そのうちの三分の二は日本周辺、西日本の巻き網か引き縄に掛かるという状況の中で、漁獲量が半減した場合の漁業への影響はどのように考えておられますか。また、巻き網それから引き縄に掛かるのはほとんど小型魚ということですから、すぐに漁獲量の上限に達してしまうのではないかということも懸念されるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

大臣政務官(佐藤英道君) 確かに徳永委員御指摘のとおりでございまして、ある地域で漁獲が集中した場合、ほかの地域の漁業者が漁獲する前に漁獲することができなくなる可能性がありますことから、本年一月から、地域間の不公平をなくすという観点から、関係漁業者との意見交換を踏まえて全国を六ブロックに分けて管理することにしたわけでございます。さらに、ブロック内における不公平をなくすためにも各ブロックで管理方法の大枠を決定するとともに、その細則の検討を行っているところであります。

 都道府県からの報告の集計速報によりますと、本年一月から三月の漁獲状況は、北海道を含む太平洋北ブロックでは約八トン、二〇一六年六月三十日までの漁獲上限三百四十六トンの約二%と今なっているところであります。また、日本海の北部ブロックでは、約二十四トンで、二〇一六年三月三十一日までの漁獲上限六百二十五トンの約四%となっているところでございます。

徳永エリ君 という御説明は、心配はないということですか。──はい、分かりました。

 資源管理の取組の中で漁業者にどのようにしてこの漁獲量の上限を守らせることができるのかということなんですけれども、水産庁としてはこの漁獲量の上限を守らせるためにどのような管理をして対応していくのか、御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(本川一善君) 先ほど申し上げました四千七トンのうち二千トンは大中型巻き網漁業でございますので、これはその時々の漁獲量を報告をいただき、二千トンを超えないように管理をしていくということにいたしたいというふうに思っております。

 それから、二千七トンについては沿岸漁業の方々に守っていただくようにお願いするわけでございます。これは全国六ブロックに分けて管理をするということになっておりますけれども、結果を水産庁に御報告をいただいて、各都道府県にフィードバックして、水産庁ホームページでも公表すると。そういうことによって、今の状況がどうなっているかと、先ほども政務官が御答弁させていただいた何%というのもそういう形で把握をしたものでございます。

 特に沿岸漁業については、その関係する事業者の方が多い、引き縄でありますとか定置網でありますとかたくさんございますので、ブロックごとに、まず漁獲が上限の七割に達した段階で注意報を発令させていただきまして、八割で警報、九割で特別警報、こういったような形で、漁獲上限に達する前の九割五分で操業自粛要請を行う、このようなことを都道府県を通じて漁業者に発信することにより管理の実効を期してまいりたいと考えているところでございます。

徳永エリ君 更に幾つかお伺いしたいんですけれども、もし上限を超過しても操業した場合はどうなるんでしょうか。罰則等はあるんでしょうか。

○政府参考人(本川一善君) 三十キロ未満の小型魚につきましては、国際合意に従いまして、我が国の漁獲上限四千七トンの枠を国全体で超過した場合には翌年の我が国の枠から超過した量が差し引かれるというルールになっております。この場合、漁獲量が上限を超過したブロックや漁業においては翌年の漁獲上限から超過分を差し引かざるを得なくなるといったようなことでございますので、私どもとしては、そのようなことにならないように、引き続き漁獲モニタリングや漁獲上限を遵守するための取組をお願いをしてまいりたいと考えているところでございます。

徳永エリ君 それから、先ほどの御説明で全国を六ブロックに分けるということでしたけれども、そのブロック外から入って操業するいわゆる県外船の扱いというのはどうなるんでしょうか。

大臣政務官(佐藤英道君) 漁獲量につきましては、漁獲した海域にかかわらずにその漁船が所属する都道府県の漁獲量として報告され、当該都道府県が所属するブロックごとに管理をしているところでございます。したがって、北海道沖で操業する道外漁船については、所属する都道府県及びブロックで管理されることになります。一方で、北海道沖のブロックで漁獲上限に近づき警報等が発出されている場合には、北海道沖で操業する他のブロックに所属する漁船に対しても当該海域における操業の自粛を求めることといたしております。

徳永エリ君 それから、太平洋クロマグロの小型魚の漁獲量削減に伴って資源管理に取り組んだ漁業者がそのことによって収入が減少した場合には、何か支援策というのは検討しておられるんでしょうか。

国務大臣林芳正君) 太平洋クロマグロの資源管理に取り組む沿岸漁業者の皆さんからは、今先生から御指摘があったように、収入が減少した場合の支援策、これを講じてほしいという御意見をいただいてきたところでございます。

 このため、平成二十六年度の補正予算におきまして、太平洋クロマグロについて漁業収入安定対策事業、これを拡充いたしまして、従来より厳しい資源管理に取り組む場合は補填割合を引き上げるということによって手厚い減収補填を行えるように措置をいたしました。

 今後とも、関係者の御意見をお聞きしながら、管理手法を改良しつつ適切な資源管理に取り組んでまいりたいと思っております。

徳永エリ君 私の地元の北海道はこれからクロマグロ漁が始まるということであります。今年からこの厳しい資源管理が始まりまして、三年ごとに評価していって、もしかしたら規制が緩むかもしれないし、もっと厳しくなるかもしれないという状況にありまして、現場の状況を水産庁としてはしっかり把握をしていただいて、クロマグロの資源回復はこれからの漁業を考えても大変に重要な問題であり、しっかりと取り組まなければなりませんけれども、特に沿岸漁業に関わる皆さんは経営状況が大変に厳しいという声も多く聞かれております。漁業者の皆さんの暮らし、生活を守るという点もしっかりと対応していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 その点に関して、もう一度大臣から御答弁をいただきたいと思います。

国務大臣林芳正君) 資源管理というのは、今の人だけではなくて、将来にわたって持続的に漁業ができるようにするということでもございますので、負担が今の人だけに行かないように心を配りながらしっかりとやっていきたいと思っております。