やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

馬鹿の一つ覚え ー 水産庁叩き(5)

水産庁叩きシリーズ最終回。

ミクロネシア連邦のカツオ漁船拿捕事件で、国内の漁師さんともパイプが出来た。 勝川教、即ち資源保護推進で改革派の学者さんの話と、 宮原教、即ち資源保護推進で保守派の水産庁官僚の話を聞く機会を得たが 現場の声が一番重要だ。 肝心の漁師さんたちはどう考えているのか? まず水産庁が規制して新たな大型漁船がなかなか作れず国際競争に既に負けているんだそうである。

f:id:yashinominews:20211002185355p:plain

海外まき網漁業 ― 現状と可能性 ― より

http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/SuisanShinkou_543.pdf

会長 中前明 社団法人 海外まき網漁業協会 そして国内の漁船は老朽化が進み、なかなか新造できないのだが、その機会があれば経済性から、操業効率のよい「大きな船」を作りたいのは当然の事である。 昨年2隻が750t から1200t大型化されたが、太平洋の通常の年間漁獲を越えないことが条件。1年のうち 3ヶ月ほどは、インド洋で操業だそうである。 だから、水産庁が補助金で大型漁船を新造し、資源枯渇に拍車をかけているなんてウソ! 他方諸外国バンバン大型船を増やしている。 上のグラフの増加している船の国籍を示したのが下記のグラフである。まき網漁船を増やしているのは、なんと島嶼国なのだ。多分台湾等への便宜置籍漁船であろう。

 

f:id:yashinominews:20211002185340p:plain

そして漁師さん曰く、日本は規制を主導し、しっかり守ってますよ。守ってないのは外国、とのことだ。例えば今年のニュースにこんなのがありました。

「韓国漁船、太平洋クロマグロを違法に大量漁獲 水産庁が輸出停止要請」 2016.3.12 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160312/mca1603120500001-n1.htm

実はこの水産庁叩きシリーズ(1)を書いたら早速コメントがあった。下記に若干修正してご紹介したい。こういう声もある、という事である。

 「漁業者だって、命がけで漁をして魚を獲ってきています。 事故になったときの、死亡率が一番高かったかな? 食は我々の生きる基本です。それを命がけで取ってます。 あまりに水産庁批判ばっかりされても、、、、 「簡単にやめろ」「縮小」「撤退」しなさい、ってのも、 軽々しい意見だと、思って欲しい、、。」