参議院での太平洋クロマグロ議論をビデオで一通り拝見した。
なんと言っても圧巻は平成27年07月07日の徳永議員と水産庁本川長官とのやりとりである。
本川長官
「・・・そういう意味では、全く効果がない数字であるというのは余りにも理解のない御主張ではないかなというふうに思っておるところでございます。」
「私どもとして、そういう科学的な見解、それから国際機関での合意、こういったものを踏まえて対応していく必要があると考えております。仮に、そういう国際機関の合意なく、あるいは科学的な根拠なく対応するということになりますれば、規制の効果、これが十分に発現されないということになると思いますし、資源管理について漁業者の理解が得られなくなる、規制を受ける側の漁業者の理解が得られなくなる、あるいは管理措置が遵守されなかったり、最悪の場合、訴訟等にも発展する可能性があると、そのように認識しております。」
この議論に出て来る勝川先生も「壱岐市マグロ資源を考える会」もこのブログで取り上げさせていただいている。
水産庁が漁場の拡大から、漁業資源を管理する方向に政策転換して行く中で両者は同じ方向を向いていたはずである。
昨年、日本の水産庁が全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)と中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)で50%前後の未成魚の漁獲削減を合意させた。この背景には日本の、壱岐の漁師さん達が主導した漁獲制限の動きがある。しかし、勝川教授が未成魚だけではなく、産卵魚も漁獲制限を、という主張をしてから話が噛み合なくなってきたようで、参議院での議論もそこに集中している。
05月21日の舞立議員の発言では
「・・・現在、太平洋クロマグロの資源管理の問題に当たりましては、クロマグロの資源回復には産卵親魚の規制を強化すべきといった科学的根拠に基づかない議論を展開して、NHKの「クローズアップ現代」とか月刊誌ウェッジなどのマスメディア、そしてインターネット等を利用しながら感情論や感覚論に訴えて世論形成を図る動きが一部見られ、私としては非常に遺憾に思っているところでございます。」
と厳しく指摘している。
当方はここ数年PEWやシーシェパードの海洋資源保護活動を目の前で見てきて、彼らが「感情論や感覚論」で動くプロパガンダ団体である事に確信を持っている。しかも米国政府内に相当食い込んで大統領まで動かすのだ。
米国が進めた太平洋の海洋保護区のせいで、米領サモアとサモアの缶詰工場が閉鎖に追い込まれている。
"American Samoa plea for action on fish access"
17 August 2015 Radio NZ International
マグロが一回に産む卵は数千万個(羊は牛は1匹ですね。)。1−2%の生存率らしい。それでも数十万個。じゃあ、マグロをこんなに穫っていなかった江戸時代とかは海洋にマグロが溢れていたはず?そこは自然淘汰なんでしょうか。ある数値まで行くと生き残る数は頭打ちになるらしい。
過剰な環境保護が経済をだめにしてしまう例もある。
持続可能とは、取らないことではなく、持続的取って行く事である
*「順応的管理」
公海での漁業規制による漁業資源の管理や海洋保護区、特に禁漁区(No take zone)の設定な どを考えた場合、科学的な不確実性が大きいことに配慮し、当初は想定していなかった事態が発生することを想定し、変化に応じて規制や管理計画などを修正するという手続きを繰り返す「順応的管理」を行う必要がある。
「順応的管理」とは、自然の環境変動により当初の計画では想定しなかった事態に陥ることや社会的な背景が変動することをあらかじめ想定して保全と管理のシステムに組み込み、対策の効果や生態 系の変化を常にモニタリングしながら、管理手法を随時再検討し、必要な場合は修正する手法のことを言う。近年、漁業資源の管理と持続的な利用を進めるための手段として注目されている。
そのためには管理手法の成果を評価できるような具体的な目標を定めることが重要であるし、多くの 利害関係者が参加して合意形成を目指す議論の場づくりなどが重要となる。
公海の管理においてこのような仕組みを実現することは容易なことではないが、制度のあり方の研究 や国際的な議論の場づくりを各国に働き掛けるなど、国際的な議論をリードする姿勢が望まれる。
「公海から世界を豊かに ~保全と利用のガバナンス~ 」2014 年 6 月、公海のガバナンス研究会 72ページより引用