やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

八重山へ ー 自衛隊と海保の違い

北朝鮮のミサイルが発射される前日、八重山毎日新聞の上地義男顧問が自衛隊配備反対を明言する下記の2つの記事を書いた。

自衛隊配備で利益誘導の八重山建産連

2016年02月06日 八重山毎日新聞

http://www.y-mainichi.co.jp/news/29311/

北朝鮮の“長距離弾道ミサイル発射騒動”

2016年02月06日 不連続線

http://www.y-mainichi.co.jp/news/29310/

後日同社の記者に伺ったところ、社としては自衛隊誘致に関する立ち場を明確にしていない。あくまで上地顧問の意見である、という事であった。

尖閣対策で石垣には既に650名ほどの海上保安官が入り、巡視船も増えている。

上地さんに「海保はいいんですか?」とおそるおそる聞いたところ、海保はいいんだそうだ。何故かというと海保は以前より石垣島にいたから、らしい。

平和なときは国民から税金ドロボーと罵られ、危険な時は真っ先にその国民のために命を捧げる。自衛隊アレルギーはどこから生まれたのであろうか?

ミクロネシア海上保安事業を担当する中で、最初はおっかなびっくりで連絡を取っていた日米豪の国防関係者も直接知る機会が増え、今は結構打ち解けて話せる様になった。本人もそうだが、家族が気の毒だと思う事がしばしばだ。

ところで、上地さんがよし、とする海保も海外から見ればパラミリタリーにカテゴライズされる。中国の海警、米国の沿岸警備隊は各海軍と一体となって動いている部分が大きい。

日本の海保誕生の原型でもある米国沿岸警備隊は、広大な太平洋を米軍、PACOMと共に守っている形である。

日本が、上地さんが海保は自衛隊より安心、と思っていても国外はそうは思っていない、だろう。

逆に、自衛隊の支援なく単独海保だけで国境警備というのは、海保の方達に気の毒な状況なのではないか、と想像する。

米軍を多く抱えるハワイの友人に聞いた事がある。米軍に対するアレルギーは地元にはない、とのことであった。家族の、友人の誰かしらが米軍で働いている。逆に誇らしく思っている、という話であった。

最後に、天皇陛下お誕生日の記者会見で元海上自衛隊の方々が命がけでパラオ海底の不発弾を処理している事を述べられている事を紹介したい。

日本地雷処理を支援する会のパラオでの活動は立ち上げ時から支援させていただいたので、自分の事のように嬉しい。

アンガウル島は,今,激しい戦闘が行われた所とは思えないような木々の茂る緑の島となっています。空から見たパラオ共和国珊瑚礁に囲まれた美しい島々からなっています。しかし,この海には無数の不発弾が沈んでおり,今日,技術を持った元海上自衛隊員がその処理に従事しています。危険を伴う作業であり,この海が安全になるまでにはまだ大変な時間のかかることと知りました。先の戦争が,島々に住む人々に大きな負担をかけるようになってしまったことを忘れてはならないと思います。」

天皇陛下お誕生日に際し(平成27年

天皇陛下の者会見 会見年月日:平成27年12月18日

http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h27e.html

から抜粋