2月26日、パラオでの海洋安全保障会議の前に、ミクロネシア大統領サミットとミクロネシア首長会議が開催された。
ミクロネシアの動向を知るのに良い機会で、両方とも傍聴させていただいた。
両会議ではパラオの海洋保護区とミクロネシアチャレンジというミクロネシア地域の海洋保護区の事業が取り上げられた。前者は、商業漁業を禁止する替わりに信託基金を設置する、というアイデアだ。後者もMicronesia Conservation Trustというのを設置している。
パラオの海洋保護区は、計画通り資金が集まっておらず、大統領サミットでは日本財団の支援の話のみ取り上げられた。ミクロネシアチャレンジの方は保護活動の話は一切出ず、信託基金の運営の課題についてだけ発表された。
つまり、環境保護と言いつつ、実は金融商品の開発なのではないか、という当方の予想は段々確実なものになってきた。
パラオで承認された、広域の、しかも全面商業漁業禁止の海洋保護区制定は多くの科学者から疑問が提示されている。また国内での承認過程についても、現地でさまざまな意見を聞く機会があった。パラオでもPEWのプロパガンダが展開さてれている、という話だ。
そうすると、日本の一民間財団が金融商品目当てでもなく、プロパガンダでもない、実質的な広義の海洋安全保障支援を行う、という事の意義が浮き上がって来る。
パラオ滞在中、「財団の真の目的はなんだ?」と何人からか聞かれた。
「昨年末海洋政策学会で発表する機会があったのですが、日本とパラオを比較した場合、日本は人口一人当たりのEEZは野球場約一個分、パラオは千個分。GDPで計算すると日本は1km2辺りのEEZ約1億円。パラオは4万円。ご存知の通りパラオの海洋警察は20+人。パラオ政府独自でEEZ管理なんて無理に決っているんです。」
パラオの人々が広大なEEZを保有する事の意味を議論し、国家海洋政策を設定すべき時だと思う。そうでなければ、プロパガンダも金融商品も、即ちあらゆる支援を無防備に受け入れてしまう事になる。