やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

森元総理とミクロネシア海洋安全保障事業

2008年、私が立ち上げたミクロネシア海洋安全保障事業がどうにか軌道に乗って、順調に発展している理由の一つが森喜朗元総理の存在である事を、「水産庁叩き」シリーズを書きながら思い出し、私しか知らない、私しか書けないことなので、記録として書くことにした。

2008年ミクロネシア海上保安事業を立ち上げる際に、元国交相審議官だった羽生次郎氏に当方が色々と提案アドバイスして来た事は既に書いてきたが、太平洋の海洋安全保障という大きなレジームを動かす事業になりそうなので、森元総理の支援を何某かの形で得た方がよいと、森元総理と太平洋島嶼国の関係も説明しながら提案した。

今では信じられない事だが、2008年私が立ち上げた「ミクロネシア海洋安全保障事業」を潰そうとした2つの勢力があった。豪州のラッド政権と日本外務省である。名前は出さないが在ミクロネシアの某大使は「余計な事をしやがって」と言いふらしていた。

その同じ外務省から3年後のシーシェパードの件では感謝されたのである。

この日本外務省の後ろ向き、ラッド政権と同じ反日的行動を指導する、どういう表現が適切なのでしょうか?これをやってくださったのが森元総理なのである。

太平洋と言えば、日本の政治家で当方が思い浮かぶのが「環太平洋連帯構想」を提案した大平総理、首相として始めて当該地域を訪ねた中曽根総理、第二回サミットを沖縄でと動かれた小渕総理。そして小渕総理が亡くなられた後を引き継いでこのサミットを成功におさめ、サミットの事後事業としてフィジーにも足を伸ばし、かつミクロネシア3カ国の日本領事館を大使館に格上げされた森総理である。

森総理はお父様が戦争中チュック島で過ごされた事もあり、ミクロネシアへの思いは特別であるのだと想像する。

これに加え、安倍総理の太平洋島嶼国への関心は目を見張るものがある。

特筆すべきは2014年の安倍総理パプアニューギニア、ウェワク訪問であろう。この訪問を控え、当方は国父ソマレ閣下から直接電話をいただた。

この太平洋島嶼国重視の安倍政権を外務省はしっかり支えているのであろうか?

当方は水産庁だけでなく、外務省にもかなり無料奉仕をさせていただいているが、唯一人お礼がしたいと奢ってくれたのは宮島昭夫氏である。東京都庁に出向されたようだが、当時宮島氏曰く、外務省には各地域の専門家がいるが太平洋島嶼国だけいない、という事であった。

日本の太平洋島嶼国研究、どうなってるんでしょうね。ここら辺あまり触れたくない領域です。

「矢内原研究が必要だ」と言ってくださったのは渡辺昭夫先生だけでした。