やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

「海洋基本計画(案)」に関する意見募集

内閣府総合海洋政策推進事務局から「海洋基本計画(案)」に関する意見募集が今日まで行われている。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095180570&Mode=0

読んでいたら、とても黙っていられなくて昨晩パブコメを出した。海洋の現実をどれだけ知っているのか?

責任者は誰だ?安倍総理だった!

下記の提出したコメントがブツ切れなのは、素案の各章、節ごとに書く様式なっているからだ。まあ、総合海洋政策推進事務局は私コメントなんかすぐに削除するんでしょう。これがパブコメの実態、民主主義である。

パブコメ

「国際場裡では、国際法上の根拠が必ずしも明らかではない、海洋権益等に 関する主張が展開されるなど、国際的な海洋秩序を動揺させかねない動きも見られる。」に関連し、パラオキリバスなどメガ海洋保護区をノーテイクゾーンに設定し、海洋法62条に疑義のある国内法を制定している。これは途上国の海洋法への無理解、または先進国NGOや研究者のアドバイスに問題があることが要因。日本は太平洋島嶼国などの途上国に海洋法を中心とした国際法を学ぶ機会、もしくは法制度の支援体制を構築すべきである。

パブコメ

<「総合的な海洋の安全保障」の中核的概念として捉え、・・・関係各国と連携・協力しながら「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進し ていく。>に関連し、インド太平洋がカバーする地域には途上国、特に広大な海洋を管轄する小島嶼国があり、実質的にこれらの国家は経済規模の制限から海洋安全保障を行えていない。日本は現在行われている水産庁取締船のパラオ派遣のような国際協力を積極的に行うべきである。海は繋がっているし、日本の海洋活動は国内の海洋管轄権内に留まっているわけではない。

パブコメ

「太平洋島嶼国においても違法漁業対策や組織犯罪対策等を念頭に海上法執行能 力の向上支援を推進する。(外務省、国土交通省)」に関し、違法操業対策に関して、水産庁を入れるべきである。日本財団ミクロネシア海上保安事業を10年担当してきたが、国交省海上保安庁、外務省は漁業を知らず、本来支援すべきではない、パラオの海洋保護区やミクロネシア連邦政府による日本カツオ漁船拿捕に加担するような間違った行動をとっている。国交省海上保安庁、外務省、水産庁、そして法務省など関連省庁の連携協力は内閣府の主導でなければ実現しない。

パブコメ

ウ 政府間の国際連携の強化 にある「世界海上保安機関長官級会合」等の 多国間の枠組に関し、南シナ海東シナ海の情勢を見てもわかる通り、漁船が先頭に立って国家安全保障の秩序を壊している事は見逃せない。漁船が軍事活動を行なっている可能性もあるし、また麻薬、人身売買、マネーロンダリング等の越境犯罪を行なっている事もある。よって関係省庁としてあげている(警察庁財務省、外務省、国土交通省防衛省)の他に水産庁も参加させるべきである。世界の海洋の現実を知っているのは水産庁である。

パブコメ

オバマ政権下、国務省ケリー長官、米国の環境NGOピュートラスト財団などが中心となって立ち上げたアワオーシ ャン会合を日本政府として扱う事の意義に強い疑問を感じる。米国政府はオバマ政権が大統領令で拡大した海洋保護区を縮小し、ノーテイクの海洋保護区から海洋産業を尊重した海洋政策を検討している最中である。本件に関しては米国政府の意向を確認すべきだし、日本が関与するのであれば日本独自の「里海」コンセプトやニッスイ等が行なっている世界展開の水産業を主要テーマに持って来るべきだ。