やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

"The Right Man" バヌアツBaldwin Lonsdale大統領の訃報

The Right Man

By Dan McGarry

http://dailypost.vu/news/the-right-man/article_88fa757e-d434-5edc-9b6c-4bfab1547e81.html

 

 

バヌアツ共和国のBaldwin Lonsdale大統領は2015年3月の第3回国連防災世界会議に参加し、会議中に大型のサイクロンがバヌアツを襲うことを知って、涙して支援を求めた姿がテレビに映された事が忘れられない。

 

引き続き、安倍総理が支援を惜しまないと同大統領と会談した様子をテレビで見て、バヌアツの事を知らない外務省が気になり、現地に飛んだ薗浦健太郎(第2次安倍改造内閣)外務大臣政務官に勝手に情報を送らせていただいた。当時の大洋州課課長だった和田氏にもバヌアツの状況を報告し、珍しくお会いした時お礼を言われたことも覚えている。

 

 

バヌアツは、サイクロンはどうにかやり過ごしたが、その後、中国企業から賄賂をもらう14人の議員がサイクロン対策で与党を批判。当方の知人のレゲンバヌ大臣が笹川平和財団の会議に招待されている最中に政権を乗っ取られる、とういう事があった。

レゲンバヌ大臣を助けるべく当方は情報操作を開始したのでここら辺も記憶に残っている。

その後、さらなるどんでん返しで、この議員達は牢屋に行くことに。

Baldwin Lonsdale大統領はこの14名の議員へ恩赦の要請を拒否したのである。

 

ネポティズムが強い島嶼国に少ない政治家である。

バヌアツの人は心から哀悼しているであろう。

上記のVanuatu Daily Postの "The Right Man"の記事はバヌアツの知人が書いたもの。

 

日本でも記事になっていた。

「バヌアツ大統領が急死=サイクロン復興に尽力」

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017061800187&g=int

 

<追伸>

バヌアツは、タックスヘイブンを背景に独立したこともあり、中国の侵入が他に国よりも深刻だと理解しています。また、日露戦争の日本の勝利で、同盟にあった英国が漁夫の利を得る形で、仏が協力する場面に迫られ(この歴史的背景、今後藤新平の本を読んでいて知りました!ウィルヘルム二世のせいではなく、日本のせいだった!))、世界でもめずらしい、英仏共同統治が100年近く続きました。元々言語も多様、島の数も多く、その統一に苦労しています。

そのような中、不安定な同国の政治を担っているのが、実は日系のバヌアツファミリー。

バヌアツも日本の支援を期待しています。