私が海洋問題に関わり始めた2008年。任期を終えるブッシュ大統領が世界最大の海洋保護区を太平洋に制定した。
続いてオバマ大統領も任期を終える直前にこのブッシュが制定した太平洋の海洋保護区を拡大したのである。
オバマ大統領はハワイ出身の、即ち初の太平洋出身の米国大統領として太平洋島嶼国の人々からも期待されていたし、米国の海洋政策をルブチェンコ長官を指名しどんどん進めて行く様子は頼もしく見えた。しかし、途中ルブチェンコは干され、メガ海洋保護区は地元水産産業を壊滅の危機に。
そこに現れたのが5月末に発表されたトランプ大統領令。1906年に制定されたAntiquities Act.という大統領権限でできたこの広大な保護区の見直しである。パラオや、キリバスのメガ海洋保護区にも関係して来るので、注目していたし、知り合いの共和党議員には速攻でUNCLOS62条の件を伝えた。
この見直し作業を担当した内務省のZinke長官からは数十ページの報告書が先週トランプ大統領に提出された。公表されているのは下記の2ページのメモだけ。しかし読み応えがあった。
REPORT SUMMARY BY U.S. SECRETARY OF THE INTERIOR RYAN ZINKE
https://www.doi.gov/sites/doi.gov/files/uploads/monument-report-summary.pdf
この大統領令で制定された保護区は、1996年以降になんと26倍、サイズが広がったという。しかも地元にも、議会にもなんのコンサルテーションなしで。加えてこの無謀な大統領令に縛りをかけるため下記の条件を課していたが、無視されているとのこと。
1. 歴史的建造物、歴史的先史の構造物、そして歴史的科学的関心があるもの
“historic landmarks, historic and prehistoric structures, and other objects of historic or scientific interest,”
2. 適切な管理と運営ができる最小の範囲に留めること。
"the smallest area compatible with proper care and management of the objects.”
今回の見直し作業では明らかに上記に反する内容が確認された。Zinke長官は現在の保護区を廃止市内が、規模を小さくし、科学的データを元に漁業や狩猟ができるようにすることを提案している。
そう。保護区自体は問題ないのだ。問題は人間の活動が、科学的データを無視して制限されることである。
今後、パラオ、キリバスに何がしかの影響はあるであろうか?少なくともオバマ政権が行なったようなディカプリオを呼んできてやった"Our Ocean"のような水産業を無視した支援はなくなる事を期待する。
Interior secretary recommends Trump alter at least three national monuments, including Bears Ears
By Juliet Eilperin and Darryl Fears August 24
Zinke: US marine monuments will remain, but fishing rights may be restored
By Cliff White Published on August 25, 2017
(この記事最高。ダニエル・イノウエが海洋保護区に大反対していたから進まなかった!)
Four Pacific Marine National Monuments Face Threat Under Trump Order
BY CHRISTOPHER PALA – AUGUST 14, 2017
Interior’s Zinke recommends local access to monument
By Kimberly A. Bautista | Posted on Aug 29 2017
http://www.saipantribune.com/index.php/interiors-zinke-recommends-local-access-monument/