『オレンジ計画―アメリカの対日侵攻50年戦略』 1994 エドワード ミラー (著), 沢田 博 (翻訳)、新潮社
オレンジ計画ーレインボー計画の中の対日戦略である。
太平洋を、日米関係を、第二次世界大戦を知る重要な資料だろうち思いつつ、戦記物は関心が湧かないので手に取る気は無かった。
今年、島嶼議連、海洋議連勉強会で続けて講演するという栄誉、多分私の人生にとって最高の勲章であろう経験をさせていただく機会があった。そこで勿論中国の第一列島線、第二列島線の話になり、この「islands chain,ー列島線」とは何か自分がしっかり理解していなかったので急遽資料を探した。
明確な記述は見つけられなかったが、どうも米国のオレンジ計画がその起源のように見えて来た。
そこで、この本を借りたのである。
不思議な本である。突然始まって、突然終わる。
普通前書きとか、色々付いている。
これだけ有名なタイトルである。当然書評が、と思って探したがない!
一昨日、返却日が来て、1時間かけて飛ばし読みした。
FBにちらっと書いたら、どうも関心が高いこと、しかし誰もその詳細を知らなそうなことがわかって来て、きちんと引用しながら読めばよかったと猛反省している。
1。米国の反日は西海岸とハワイに大量に押し寄せる日本人移民への不信感から始まった。
ハワイ併合は、日本移民のいるハワイ近海に日本海軍が現れ、戦争の可能性もあった事から加速された。
すなわち対日戦略、オレンジ計画は1890年頃から着々と作られたのである。
その、米国人のパラノイアぶりは魂消るばかり。イエロージャーナリズムの醜い姿は米国政治家も呆れるほど。なんせ売れれば何でもかくのだ。(今と同じか)
2。列島戦略は米国のアイデアでは?
対日戦略として出て来たのが、東南アジア伝いの列島線とハワイからアジアを結ぶ列島線、そして南太平洋の島々だ。やはり列島戦略の元祖は米国ではないか?
当時の日本はまともなインテリジェンスがあったはずである。当然米国のオレンジ計画を把握していたはずだ。であれば当然警戒感を高め、米国人をミクロネシアから追い出そうとしたであろうし、戦争になってパプアニューギニアやソロモンを抑える必要を考えたのかもしれない。
3。米国のスパイ計画
アメリア・イアハート事件の一つの可能性として語られているがあまり出てこない説が、イアハートがスパイ説。オレンジ計画には米国海軍が世界一周飛行を装って日本領のミクロネシアをスパイさせようとした計画があることが書かれている。却下されたそうだが、時期が重なっている。
英文の書評は探していない。絶対書評があるはずだし、どのように議論されているのか知りたい。
自分の博士論文の勉強が落ち着いたら(落ち着くことがあるのか?)再読し、今度は細かく引用して行きたいと思っています。