いったい、ニッスイはニュージーランドのマオリとどのような水産経営をしているのか?
下記の記事は2012年のもの。ニッスイがシーロードに参入して10年少しが経過した頃だ。
日本水産にニュージーランドのマオリが神像を寄贈/ニュージーランド国外初
2012年8月23日
http://www.foodwatch.jp/secondary_inds/7862
ポリネシアの海の神、タンガロアが東京のオフィスに寄贈された。寄贈のし方もマオリの伝統儀式に則って。感謝されていなければこんな事はしない。
ニッスイが行ってきたこと
・食肉生産会社への投資、
・漁業の技術移転、
・ラグビーへの協賛
・マオリの若者に対する研修(漁獲、養殖、食品加工、販売、物流など水産関連の各分野と日本語、日本文化、消費者ニーズの理解)
これって、海洋法の中での書かれている新国際経済秩序そのままではないでしょうか?
最後の研修について2011年のニッスイのニュースレターが詳細を報告している。
“グローバル水産研修”
https://www.joea.or.jp/wp-content/uploads/pdf/2011_06_csr.pdf
毎年1−2名のマオリのシーロード職員が約1年の研修を日本で受ける。ニッスイはこれを社会貢献の枠で行っている。卒業生はニュージーランドの水産業に寄与している、とのこと。そして面白いのはみんな東京の中野を好んで住居に選ぶ、という事だ。
ニュージーランドの先住民問題、水産業問題の重要性を考えると中野の、ニッスイの果たしている役割は日本で考えるより大きいと思う。
評価作業が行われる事を望む。それが他の太平洋島嶼国の参考にもなるからだ。
下記のニッスイの英文サイトを読むとニュージーランドで展開している事業の様子が伝わってくる。
http://www.nissui.co.jp/english/business/groupnews/spotlight.html#ao
マオリだけでなくカンボジアからの難民を雇ったり、海岸清掃、子供の水泳指導の支援をしたりと広く活動している。
企業が会社の周囲を掃除する風景って海外では見かけない。非常にシンプルなことだけど、企業哲学の基本の「き」のように思う。これが「一緒に仕事をしていこうと。一緒に価値をつくっていこうと。」なのであろう。
先住民マオリが資源を得ても自分で活用できず売ってしまう例が多いなか、シーロードの成功はどれだけマオリ族を勇気づけているであろうか?しかもニッスイのサイトを見ると「シーロード」という企業名で世界展開しているのだ。ニュージーランド人は知らない。
私が「え、知らないの?ニュージーランドの会社が英国の水産会社を買収したんだよ。」と教えている。多分そんな事、英・ニュージーランド史上ない、想像もできないと思う。
それから昨年、米国のピューが仕掛けたケルマディック島のメガ海洋保護区が頓挫したのだが背景には水産業で成功しているマオリの強い反対があった。フェイクな海洋環境保護を回避できた事にニッスイの役割、即ちシーロードの成功もあったのではないか、と想像している。