やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

カンパチとナヴァロの水産改革

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2020年5月7日の大統領令で示された米国の水産改革。同日のウォールストリートジャーナルに、トランプ政権の通商戦略ブレーン、ピーター・ナヴァロと国内政策会議(DPC)委員長ジョー・グローガンの連名で記事がでた。

"Trump Lifts the Net off American Fishing"

トランプ大統領、アメリカ水産業に掛けられた網を取り除く

 

大統領令よりも簡潔に、また一般人向けにまとめられている。

ブッシュ、クリントン、オバマと続いた海洋保護区拡大の動き。オバマ政権の米国海洋政策には日本では私一人提言をホワイトハウスにも出した。

トランプ大統領になってこの米国の水産業を衰退させる動きをひっくり返す動きとなった。

しかし、まさかあのナヴァロが水産改革を述べるとは驚きだ。しかも「 ハワイのビックアイランドの大海原で泳ぐsleek, silvery and delicous Kanpachi を食べたいだろう?」とまで書いている。

オピニオンの内容はまさに対中国だ。米国は85%の水産製品を輸入に頼っている。世界最大のEEZを持っていながら!米国の養殖水産業は年間利益は1.5ビリオン米ドル、中国は140ビリオン米ドル。しかも中国の水産製品は環境、労働、品質等国際基準を満たしていない!

実はアメリカ発信の海洋保護区の動きは太平洋島嶼国にも影響している。パラオが良い例である。近々提出する来年の島サミットの提言に若干唐突だがこの件を入れた。安倍政権はパラオのOur Oceanの支援を中止すべし、と。