やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

G7海洋プラスチック憲章を検証する

なぜか「環境保護」と言うと思考停止になって事実検証をしない。メディアがしない。自分でちょこっと調べただけでも日本のプラスチック処理の能力の高さはわかるし、海洋ゴミを出しているはG7ではなくて中国、インドネシアだ。

そんなことを喚いていたら検証をした記事が出てきた。さすが産経。宮下日出男記者の署名記事である。EU域内のリサイクル率が3割以下なのである。多くが中国に輸出されていたが中国はもう受け入れない。そしてEUで流通が禁じられる製品のほとんどはアジア・太平洋地域からの輸入品。つまりアジア市場を締め出し欧州が新製品を作る、と言うしたたかさを指摘している。「G7海洋プラスチック憲章」がきれいな話ではないのがわかる。

www.sankei.com

もう一つは堀田康彦公益財団法人「地球環境戦略研究機関(IGES)」上席研究員。国際関係の博士だ。このプラスチック問題日本は世界を主導してきたのだ。ドイツ、カナダは知らないがあのバッチイパリの街を数年前に見た私は、マクロン大統領だけには言われたくない、と思う。

「海洋ゴミ対策、資源・廃棄物、温暖化対策を含むプラスチック資源循環戦略を2019年に向けて策定することも予定されている。」

「日本がすべてに反対しているのではなく、特定の表現に疑問を投げかけている様子である」

www.businessinsider.jp

 

 

上記2つの記事に比べ「当然日本も例外ではないが、取り組みは大きく立ち遅れている。」と結ぶは毎日の八田浩輔記者。堀田氏の記事を読めば立ち遅れているどころか世界を主導しているのではないか?背景を調べていないのが一目瞭然。

mainichi.jp

 

最後は日経。篠崎健太記者の署名記事だ。日本の実績に何も触れていないし、中国欧州の影の部分も触れていないどころか欧州にだけ危機感があるような書き方だ。

www.nikkei.com

 

以上、4本の記事を比べてみました。