後藤の講演記録である「植民政策一班」から、「第一 緒論及び日本植民政策の史的経済的関係」に続いて 「第二 帝国満州における特殊の使命」をメモした。
最後の節は「第三 植民政策の基礎となるべき間接設備の効用」。
植民の肝要は科学的視点。研究所の重要性を説く。これは後藤の学問的、また日本での業績を観れば当然の主張である。
後藤の博論はドイツ語、36頁の「衛生行政と公衆衛生ー日本と他国の比較視点」だ。36頁羨ましい。
次に植民地の先住民の教育が議論されている。ここでは言語教育について深く議論され、後藤はアルザス・ロートリンゲン、ポーランドなどの言語政策の問題にも通じており、この言語教育がどれほど重要で困難かを認識しているのである。
そして満州運営がビジネス感覚ではできない、20億円の借金をして100万人の兵を動かした使命は戦争をするよりも難しい、と点を打って強調している。この点が編者の中村哲氏によるものか原著にあるのかはわからないが、どちらにしろ強調したい箇所で、満州を語る時この数字は忘れてならないのだろう。当時の20億円、今ではいくらくらいであろう。
後半、露西亜との関係も書かれていて興味深い記述が続くが、ここら辺の事が全くわからないので半分字面を追っているような判断しか自分にはできない。しかし後藤が露西亜との関係に力を置いた背景がなんとなくわかるようにした。
戦後処理は戦争をするより難しいのだ、きっと。
これで「植民政策一班」は終了。次はいよいよ『日本膨脹論』