やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ニューカレドニアー独立を問う住民投票 虹の戦士号事件和解とFRANZ防衛協力

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11月4日のニューカレドニア住民投票の件を郵便学者の内藤先生に先に書かれてしまったので、その粗捜しをしている。これが楽しいので続けます。

ニューカレドニアが仏領になって鉱山開発がされた事に触れられていますが、重要なのはここに日本移民が来た事だ。数字を確認しようとウェブサーフィンをしていたら西南学院大学文学部のサイトで「2011年研究旅行 ニューカレドニアで暮らす日本人移民」というのがあった。

www.seinan-gu.ac.jp

入植者の箇所を引用する。

1892年(明治25年)、海外で働きたいという600名の単身日本人男性が、移民社会の斡旋でニューカレドニアにやってきた。採用の際、ニッケル鉱山での5年間の労働契約書が用意された。1919年までに合計5575名にのぼる移民がニューカレドニアに到着。やがて、彼らは現地の女性と所帯を持つようになった。鉱山を離れた後、島のあちこちに定住し、様々な仕事で成功した(菜園、塩田、商業、漁、コーヒー園、あるいは散髪屋、仕立て屋、大工、鍛冶屋など)。日本人は、当時の経済生活に活気あふれる豊かさをもたらす存在であった。」

現在8千人位の日系人がいる。ニューカレドニアの問題は日本と無関係ではないのだ。中国だったら戦略的にこの8千人を煽動して侵略を企てるであろう。

 

続いて内藤先生はフランスのニューカレドニア駐屯軍(FANC)、仏領ポリネシア駐屯軍(FAPF)のことを紹介されている。ここで重要なのはフランスの核実験を巡る「虹の戦士号事件」とその和解プロセス。そしてFRANZというフランス、オーストラリア、ニュージーランドの防衛協力枠組みだ。

戦争中は日本相手に協力して戦ったはずの仏・豪・NZ。戦後は何が理由だったのか(多分脱植民地化の動き)けんか別れ状態。しかも最悪な事件が1985年に起る。ニュージーランドのオークランド停泊中のグリーンピースの船「虹の戦士号」爆破でカメラマンが一人亡くなる。フランス政府による国家テロ事件である。これを巡りニュージーランドとフランス政府は国際司法裁判所で争う事となる。

その和解が20年後の2005年から開始する。FRANZ防衛協力の強化だ。そして海底通信ケーブル(Gondowana)もニューカレドニアと豪州間で敷設される。

しかし、オーストラリア、ニュージーランドだけでは世界第二位のEEZを太平洋に持つフランスは物足りないのだ。しかも最近は様子が変わって来たが両国は中国にべったりである。フランスの日本接近。安倍マクロンインド太平洋海洋協力の背景である。

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