やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

石渡茂「植民地」研究の一考察 ー矢内原忠雄の「植民論」をめぐって

偶然見つけた矢内原の植民論に関する論文。

石渡茂「「植民地」研究の一考察 ー矢内原忠雄の「植民論」をめぐって」国際基督教大学学報. II-B, 社会科学ジャーナル 号 32 ページ 57 - 71 発行年 1994-03

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石渡茂教授が国際基督教大学の先生のようである。

最初のページで唸った。

「研究課題は多岐に渡っているが、植民地における神社強制参拝や創氏改名、被植民地人の強制連行による強制労働の問題が、当面の我々の課題として取り上げられる。」とある。

 

我々とは「日本の植民地研究」研究会で、例の浅田喬二氏の会のようだ。「例の浅田喬二」と書いたのは新渡戸を糾弾するために新渡戸論文を書き、田中慎一先生に「間違いだらけで嘘だらけで、自分だけが正しいなんて頭おかしいんじゃない?」と批判されたからだ。私は最初の2頁で読むのを止めた。田中先生はよく全部読んだと思う。

 

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石渡茂氏の論文は何を書いているのか理解できなかった。石渡氏はこのペーパーを書くために「始めて」矢内原を読んだのだという。岩波から出ている「講座近代日本と植民地」全8巻の一部を参考にしたとも。このシリーズはレベルが引くいとのもっぱらの噂だ。私も捲った事があるが、ウグっ!と唸ってしまった。

問題は、現在の日韓、日中関係を左右する日本の植民政策がイデオロギー色強く議論され、誰も日本の植民政策を客観的に議論していない点である。新渡戸の東京帝国大学植民政策講義に戻ろう。