やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

東京帝国大学植民政策講義(3)新渡戸博士の講義

東京帝国大学植民政策講義、開講後2時間もせずに50人の参加がありました。

ありがとうございます。

生まれ変わったら新渡戸稲造研究者になりたいと思い、新渡戸が訪ねたであろう、今はイタレスになっている京都東山の竹内栖鳳邸に無銭飲食で入り浸り(従業員みなさんは親切だがマネージャーらしき人から嫌われている)、あの地震の日には北海道大学の新渡戸の銅像を見ては心が震え、とほとんどミーハーになっている。

新渡戸稲造全集第4巻はまさにこのブログのタイトルの東京帝国大学植民政策講義が掲載されている。その他に独立論文が9本。他の巻にも植民政策関係は書かれているが、新渡戸博士の講義としてまとめて行く。

この講義録が出されたのは1942年9月である。編者序を書いた矢内原は、新渡戸が国際連盟から戻った1927年にこの編纂を思い立ち、新渡戸は「容易に承諾がなかった」が矢内原の「再三の懇願」によって「では、君と共著なら、」と返事をした事が書かれている。

この序によると東京帝国大学植民政策講義は明治42年(1909年)に新設し新渡戸が担任し、大正9年(1920年)まで続いた。

矢内原が編纂を思い立った1927年から出版の1942年の15年。満州事変、矢内原事件、何よりも1933年の新渡戸の死去は、矢内原の筆を留まらせたに違いない。

矢内原の序にある最後の一文と、新渡戸の植民政策講義の目次を書いておく。

「故博士は生前満州事変を知られた。その後支那事変が大東亜戦争にまで発展した今日に当たり、本書の公刊によりて植民政策研究に於ける先師の業績と見識を記念するを得るは、ひとり私の個人的なる喜びであるのみでなく、亦以て我が国現時の緊切なる必要に応ずる一端であると信ずる。希くは死せる先生、生ける仲達を走らせんことを。」

これを「植民地解放などど馬鹿な事を行って戦争に進むな。新渡戸先生の植民政策と業績を学べ!」と私は解釈する。

 

講義

第一章 輓近植民思想の勃興

 第一項 動揺(motion)の法則

 第二項 種族の興廃

 第三項 国家勃興の反動

 第四項 輓近植民思想の勃興

第二章 植民の理由・目的・利益

 第一項 人口増加の結果過剰の民を移すこと

 第二項

 第三項

 第四項

 第五項

 第六項

 第七項

 第八項

 第九項

 第十項

第三章 植民の語源と定義

 第一項

 第二項

 第三項

 第四項

 第五項

 第六項

第四章 植民地の種類・種別

 第一項

 第二項

 第三項

 第四項

 第五項

 第六項

 第七項

 第八項

 第九項

 第十項

 第十一項

第五章 植民地獲得の方法

 第一項

 第二項

 第三項

 第四項

 第五項

 第六項

 第七項

 第八項

 第九項

 第十項

 第十一項

 第十二項

第六章 植民地の統治

 第一項

 第二項

 第三項

 第四項

 第五項

第七章 植民地の土地問題

 第一項

 第二項

 第三項

 第四項

第八章 原住民政策

 第一項

 第二項

 第三項

 第四項

 第五項

  第一目

  第二目

  第三目

  第四目

  第五目

  第六目

  第七目

第九章 植民政策の原理