やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

再びUNCLOS65条の解釈

www.sankei.com

「しかし、「海の憲法」とされる国連海洋法条約によれば、IWCに代わる「適当な国際機関」を通じての捕鯨が義務づけられており、日本は自ら主導して新たな国際機関の創設に努力しなければならない。」
 
この佐々木さんの決めつけが気になる。捕鯨の専門家なのだが。UNCLOS65条の
"the case of cetaceans shall in particular work through the appropriate international organizations for their conservation, management and study. "
の解釈について佐々木氏は何も議論していない。
 
 日本語では「通じて」というのが国際機関との関与を示す表現であり、上記の英語ではwork through がそれである。どちらも正式加盟国であるかオブザーバーであるかを規定する表現ではない。詳細はブログに書いてあります。
 但し佐々木氏が指摘するように、現在のインド太平洋の海洋安全保障上、またオーストラリアは自国が制定した南極のEEZに日本が入って来ない以上、日本の商業捕鯨を反対する事はないように思う。豪州が環境派リベラルを押さえて保守が先の選挙で勝利したことも関係がありそうだ。
英国の動きが気になるところだ。なぜかボリス・ジョンソンが反捕鯨の日本叩きをしていた。