やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ソロモン諸島台湾断交 法律が守ったツラギ島

 
中国企業がソロモン諸島の中央部州政府と島ごと長期リース契約を結んだ件で、かなりニュースになっていたが、同国の法務長官が違法な契約ですぐに終了しなければならない、と首相官邸を通じて、同州に通告。法律万歳!
ソロモン諸島のソガバレ首相が正式な手続き(評価作業など)を終了せず台湾断交を急かせたのは知ってるよね。
国連総会の直前でソガバレ首相はペンス副大統領との面談が予定されていたが、ペンスが怒ってキャンセルした。
 
ソガバレが急いだ理由は何だったのか?
台湾断交と同時に締結された2つの契約がある。一つは金鉱山の権利。900億円位。Gold Ridge鉱山。ウィキにもある。豪州の企業が契約していたのが政情不安で閉鎖していた。もう一つが日経も取り上げていたツラギ諸島の75年リースだ。
 
なんでソロモン諸島の件を追っているのか?毎日出て来るニュースを追うのも結構疲れる、が私には動機が、理由がある。
安倍政権のインド太平洋構想と海洋安全保障を大きく動かすきっかけを作ったのが私。2017年島嶼議連と海洋議連に続けて呼ばれてこれが2018年の島サミットの方向を変えた。太平洋のこと、インド太平洋の事を知っているのは世界でも私位しかいない(だってだれもハウスホーファー読んでないよ)ので勉強会を昨年立上げた。
 
先日郵便学者の内藤陽介先生をお招きし『ガダルカナル島の近現代史』というセミナーを開催しました。せっかくなのでソロモン諸島の動きを追っています。
 
その中で今日出てきたニュースが、ツラギ島長期リースが違法であると首相官邸の声明として法務長官オフィスから発表されたとの記事が。法務長官はツラギ島を管轄する中央州政府に対しChina Sam Group of Companiesとの契約は違法ですぐに中止するよう要請。
 
グーグル和訳で結構いけると思うが主要点だけ書いてみます。
  • 契約当事者に正当性がなく契約文書に不備が。
  • 中国企業は登録されておらず外国投資法にも違反。
  • 契約書は司法長官の確認も得ていなかった。
 
法務長官から違法性を指摘され破棄を要求されている契約内容は、太平洋島嶼国で中国が何をしているか知っている私には悪魔との契約にしか映らない。
 
  • サムグループが香港マカオの投資者の全ての窓口として5年の独占権を得る。
  • サムグループはソロモン諸島の代表窓口として中国の全て投資を管理する。
 
背景にいるのはパラオに、バヌアツパスポートで出入りしている、14Kだと思います。。