やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『法学の世界』読書メモ その2

法学とは何か?法律とは何か?国際法で博士論文を書くとはどういうことか?

学部生のために書かれた導入書『法学の世界』を紹介してくれた法哲学者に感謝したい。シンプルな故に奥深いく、色々考えさせられるのだ。

第一章は憲法につづいて民法、刑法が続き、肝心の国際法。刑法のタイトルが面白い。「想像または妄想が織りなす魅惑と困惑の世界」

罪を裁く事の難しさを指摘している。

国際法は東京大学森肇志教授の文章だ。

 

 20世紀国際法は大きく展開していく。

 

3つあげられている。戦争の違法化、脱植民地化、人権環境など規律対象の国際化。

私が研究するのはまさにこの3つの中の後ろの2つだ。森教授は「脱植民地化」についてはほとんど触れていない。「自決権」の一つの動きである「脱植民地化」こそ太平洋島嶼国、小島嶼国の誕生に深く関係する。

続いて国際法が国内法と違って穴だらけである事が指摘されている。その例として不干渉原則が議論されている。援助付けの小島嶼国は言葉は悪いが「金をくれ、でも口を出すな」なのだ。現実はもっと複雑だ。

シュミットかシュタインが書いていたのが国家間の国際法とインターナショナルな国際法の違い。海洋や環境は後者だ。しかしそこに参加する200近い主権国家はあまりにも多様である。パラオのような人口2万に満たない国家から中国まで。一票の重さは変わらない。