やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日本人の起源とその人種学的要素 E・V・ベルツ

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日本人起源がマレイ、すなわちオーストロネシア語族である事をベルツが主張していると新渡戸が書いていたので、その文章を以前探したことがある。「論集 日本文化の起源5」(日本人種論・言語学)にその論文は収められている。「日本人の起源とその人種学的要素」だ。

 

ベルツは日本人は以下の3つの構成から構成されるとの加瀬通を立てた。

1.アイヌ系

2.蒙古系

3.マレイ系に似た蒙古系

2の北方蒙古系は朝鮮経由で本当南西部の上陸。南方蒙古系は九州に上陸し本州に渡り次第に全国を制覇し、日本人の人口の多くを占める。としている。他にも床に座る生活様式や古事記の記録などから3のマレイ系説が説明されている。

ここでことの真実は横に置いておいて(私はマレイ系、すなわちオーストロネシア語族起源を信じる立場だが)この説を主張するベルツが皇室と近かったことだ。ベルツは多くの皇室関係者の診療を行っている。ベルツはこの日本人起源マレイ説を皇室メンバーに話した可能性は大いにある。

であれば、皇室はその起源が九州にあり、さらにその祖先はマレイであるという説を知っていたのではないか?だからこそ、昭和天皇が台湾の蛮族を高砂族と名付け、皇室が今でも太平洋島嶼国に特別のご関心をお持ちなのではないか、と想像している。

オーストロネシア語族のインド太平洋の拡散はインド太平洋を渡って欧州とアジアを往復した欧州人の科学者たちによって確認されたのである。よって、欧州人こそが第二のインド太平洋の拡散を行ったも言える。そこに元祖オーストロネシア語族の日本人乗り出してきた。

このベルツの仮説やオーストロネシア語族の研究を後藤や新渡戸はよく知っていたはずである。大アジア主義の議論の背景を私はまだよく知らないが全くの想像ではなく科学が基盤にあったはずである。後藤や新渡戸を知るものならば科学なき地政学を二人が展開するはずはないことは容易に想像できる。

 

ここでベルツの日記に戻って、書き忘れた事を一つ。

ベルツは皇室の健康、心の健康も懸念していた。その一つが生まれた皇子たちを親からすぐに離して養育係の手に委ねる事だ。私はこれを指導者となるための特別な方法と思い込んできたが、ベルツの日記によると皇室が権力を奪回しないための幕府による権力弱体化政策だと言う。もしそれが本当であればなんと言う事であろうか。そして皇室はよく数百年もそんな人間性をを踏みにじる仕打ちに耐えられたことか。