やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ベルツー残された家族・花とトク

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ベルツはドイツに戻ってから8年後、1913年に64歳の人生を終えた。

その翌年。第一次世界大戦はドイツと日本を敵国に。一人息子のトクはドイツ兵として参戦。未亡人となった花はなんと敵国人としてドイツで監禁される。その後日本に戻った花は、今度は日本政府から敵国人として、日本にあった財産を没収される。

「ベルツの日記」は息子のトクがナチス政権下で出版。日独関係を強化するのに一役買ったようだ。トクもナチス党員に。日独、2つの祖国を持つトクにしてみれば当然のことだったのかもしれない。

しかし、ベルツの日本への愛が、ナチスにつながってしまったのだ。ある意味で。

こんな背景もベルツ研究が今ひとつである要因かもしれない。

 

ベルツ研究は私とって趣味の枠なので学術研究に期待される精密さを外した気楽な学習だ。しかし、彼の日本研究はハウスホーアーファー、その弟子のゾルゲなど、ベルツが予期しなかった範囲に影響を与え、日本の悲劇につながった、という説もあり得ないわけではない。