やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

社会学者が語る「法」「政治」

「国家緊急権」について語っているFBFに、誰がそんなことをいってるんですか?と聞いたら橋爪大三郎だった。彼は社会学者だ。FBFも法学者ではない。
 
少なくとも法学者、研究者の議論を読む必要があると指摘した。自分の専門分野ではないがニュージーランドやオーストラリアがどんどんと非常事態宣言の下、強制的な措置をしている法的根拠が知りたくて関係論文をいくつか読む中で、日本は3.11の後に国家緊急権について相当な議論があった事を知った。
 
国家緊急権を語る有識者はほとんどが専門分野ではない。橋爪氏のように。それをまた素人が引用して主張をする。こんな光景がSNSで展開される。そしてそれが「世論」になっていく。チャンネルクララでドイツの非常大権と言っていてゾッとした。もしかして私が知らないだけ?一応ドイツの基本法とそれをめぐる議論をざっと読んだが非常大権の話はでてこない。法専門家の知人にも聞いてみた。「何もわかってない人たちが語っている」と。
 
多分多くの法学者、研究者は「完全無視」の世界なのだろう。
 
橋爪大三郎さんは80年代。私が音大生の時に同じポピュラー音楽研究会で知り合った。その頃の本を読ませていただいた記憶がある。手元にも数冊あった。『人間いとって法とは何か』『政治の教室」である。私は90年代後半には国際政治で2つ目の修士を、いま公法で2つ目の博論に挑んでいる。
 
先日ハンス・ケルゼンの「国際法原理論」を手にとって法とは何かを読んだばかりだ。その後読む、橋爪本は、はっきり言おう。冗談の世界なのだ。
 
ウィキにある橋爪本のリストを見ると大衆に「売れる本」を目指している事がわかる。それを否定しないし、今その事を自分自身が計画している。「売れる本」とは大衆が関心を持って理解できる内容、と言う意味でもある。そこで少なくとも自分の専門分野以外を議論する時はその事を明確にすべきだ、と思った。