やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

台湾のコロナ対策が成功した理由と中共の情報戦

4月9日、ハドソン研究所でおこなわれた台湾 Joseph Wu 外相スピーチ。最初の15分くらいが外相のスピーチです。そこだけでも聞くことを強くお勧めします。

台湾は12月から既に武漢でのコロナに気がつき武漢に専門家を派遣。
しかし中国政府から協力を得られなかった。

多分日本政府は知らされていた。そして米国も。。

1月、どうして動かなかったのか?誰が窓口だったのか?春節を、中国便を受け入れる判断は誰がしたのか?

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スピーチ原稿も出ました。
私が一番印象に残ったのが下記の部分です。すなわち人々は政府の指示でなく、自分たちの意思で大きな集会をキャンセルした。中国との違いは政府がオープンで正直なこと! 日本政府はオープンで正直か?

さらにいかに中共政府が情報操作をし台湾政府、今また米国政府を貶めようとしているか、を生々しく語っています。陰謀論ではない、これが現実の国際政治です。

In some occasions, large public gatherings were forced to cancel, not by the government order, but by the pressure. All of the well-informed citizens. If anyone asks me about the difference between the Taiwan model and a Chinese communist model in fighting against Covid-19 I will say the most important factor is transparency and honesty.

 

<追記>

ツィッターのTomo さん(Tomo @Tomo20309138 )が要点を和訳してくれています。コピーの許可を頂きましたのでここに書きます。

 

①中華民国(台湾)Joseph Wu外相 ハドソン研究所(米保守系シンクタンク)インタビュー
・台湾が置かれている(脆弱な)立場を理解している
・WHOへのアクセス制限
・2003年SARSで多くを学んだ
・WHOは台湾を全く支援しないであろうことは分かっていた
 
② ・自国を守るのは自分たちだ 台湾の対策 1) 迅速な対応 ・台湾はどこの国よりも早く動いた ・12/31にWHOに対し「武漢で発生したSARSのような肺炎」についてWHOに話した ・台湾CDCが主導するタスクフォースを始動させ、2名の専門家を武漢に送り現調

③ 2) 早期展開 1/21、初の感染者を確認してからすぐにCentral Epidemic Command Centreを立ち上げ、水際対策を実施 3) 国民と世界に対して透明性を確保 ・国民を啓蒙した ・中国人が発信する嘘の情報を ・大規模集会などは、政府が強制したのではなく、優秀な国民が自主的に取りやめた

④ ・台湾と中国共産との大きさ差は「透明性の確保と誠実さ」である 4) 輸出規制・配給・必需品の国内生産増 ・マスクや消毒用アルコール等の国内生産を迅速に開始 ・「国民健康保険証(国民)」や「住民カード(外国人)」を提示すれば使い捨てマスクを1枚17セントで購入できるようにした

⑤ 5) CECCの指示の下、政府が一体となって行動を起こした ・SARS発生時に経験したような危機に備えた、他 6) 医療体制の編成 ・全国に検査拠点が160箇所 ・陽性者はすぐに134箇所の軽症者収容施設か、もしくは50箇所の重症者受け入れ施設に移送 ・症状によって収容先を振り分けた

⑥ 7) 院内感染防止 ・SARSで学習した ・来院する患者の症状別に導線をつくった ・院内も徹底的にゾーニングした 「我々は、防護服などの防衛なしに、医療従事者を戦場に送らない」

⑦ 8) 濃厚接触者のトレース ・追跡テクノロジー利用し、渡航歴や病歴等を照会しながら濃厚接触者を特定し、検査、検疫 ・追跡テクノロジーなしでは、トレースが機能しなくなる 9) 健保システム ★「皆さん、台湾は民主主義国家です(Ladies and Gentleman, Taiwan is a democracy)」

⑧ ・中国共産党からの悪質な情報操作や攻撃を受けている ・米国も同じようなことを経験していますね 「台湾外相としてのわたしの優先事項の1つは国際社会と【台湾モデル】を共有し、志を同じくする国々との協力を強化することです」

⑨ ・台湾と米国はコロナ対策で協力しあうことを確認する共同声明。医療必需品調達、ワクチン・薬・検査キット

⑩ 「WHOへの参加を模索し続ける」 ・台湾には世界と共有すべき有益な知見がある ・パンデミックを世界共通の問題とし、国によって差別することがないのなら、WHOが台湾の参加を引き続き阻んでいることは、無責任である ・障壁があることは理解している ・重要なことは情報共有だ

⑪ ・コロナに関する重要度の高い情報に即時にアクセスできなければ、台湾は世界の公衆衛生プログラムから欠落してしまう 台湾は「Taiwan Can Help(台湾はお役に立てます)」というスローガンを掲げ、国際社会にコミットしている。これからもこの姿勢を貫く。

⑫ ・中国がまき散らしているフェイクニュースは非常に危険である 「全世界の自由と開かれた社会を封じ込めようとする中国の動きが今後も継続することを大きく懸念している」 **********************

台湾ありがとうございます。涙。