やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

中共の魔の手に自ら身を委ねる小国パラオ

パラオが大変な事になっている。もともとあるオンラインパチンコ法案を緩和し、現在4つのライセンスを発行しているがさらに30のオンラインギャンブルにライセンスを発行する法案が下院を通過。

この背景には昨年あたり大統領がアレンジした香港・マカオの中国人マフィアの存在があるのだ。実はこんな事はパラオや太平洋島嶼国でしょっちゅう、多分60年代当りから米国人や日本が実施してきた。問題は米中関係が緊張する中で、パラオは再び米国の安全保障上重要な地政学的意味、即ち戦略的意味が明確になり、インド太平洋軍、及ペンタゴンやホワイトハウスが神経を尖らせているのだ。

 

f:id:yashinominews:20200516114238j:plain

f:id:yashinominews:20200516114242j:plain

https://drive.google.com/file/d/1u_Cpx7B-em9Iah4x7_dD56h9hA3xBmf1/view?usp=sharing

複雑な話だ。順に辿って行きたい。中国マフィアのパラオへの浸透は複雑だ。コロナ支援でも最近話題になったニュースがある。

4 tons of medical supplies & equipment donated - Island Times

 

4月22日カンボジアから4トンのコロナ医療機器が飛行機で持ち込まれた。この医療機器は未だに倉庫にあり、必要とされていない。目的は何か?

その直ぐ後にカンボジアの印がある100米ドルの偽札がパラオに出回ったのである。

Counterfeit $100 bill confiscated has Cambodian type characters - Island Times


このカンボジアのランメイ航空とは何か?会長の李昆はマカオの有名なギャング、なのだそうだ。しかも一帯一路の一環としてこの航空会社を設立。

WELCOME FROM THE CHAIRMAN & CEO


問題は新たに提出された法案はオンラインギャンブルで犯罪を犯しても罪に問われない、とした事である。実は大晦日に142人前後の違法外国人がオンラインギャンブルで検挙されているが法務大臣の指示で釈放されたのだ。即ち法務大臣(次期大統領選候補者)も仲間ということ。下記は今年1月のニュース。

Over 142 Chinese nationals seized during an online gambling raid - Island Times

62 more arrested in online gaming raid - Island Times

 

しかし一人50米ドルで法務大臣の判断で釈放

84 chinese nationals to be deported - Island Times

 

2020年6月にも逮捕。

59 people arrested for illegal online gambling operation - Island Times


サイバー犯罪の動きは常にある。

FIC imposes moratorium on crypto operations in Palau - Island Times

Gov’t probes online gambling scam - Island Times

 

この1年くらいであろうか、私のところには世界中のインテリジェンスから照会がある。パラオや太平洋島嶼国の闇、そこと繋がる日本の怪しい背景がある私立学校、慈善財団、海洋研究所、そして何よりも海洋音痴で天下り利権と造船利権しかない国交省や海保の動きは全て知っているからだ。

レメンゲサウ大統領のキングメーカーとなった笹川陽平の罪は重い。彼にパラオ名誉市民をアレンジした私の罪はさらに重い。少しはパラオの事を勉強して目を覚ましてくれるかと期待したのは愚かな判断であった。