この10月か11月に東大出版から刊行予定の
川島真・池内恵編 「新興国から見るアフターコロナの時代・米中対立の間に広がる世界」
ここに太平洋島嶼国の事を書く機会をいただき、7月あたりから情報収集・分析をはじめ先日初稿を提出したばかりだ。字数制限があって書ききれない事項が山のように残っている。せっかく太平洋島嶼国のコロナ事情をフォローしてきたので、残った情報と、毎日出てくる新たな情報も含めシリーズで書いて行きたいと思う。
1回目は最初に参考にしたジャーナリストNick Maclellanの記事。
彼はフランス語でニューカレドニア、タヒチ、バヌアツなどを中心に太平洋を広くカバーしている。私は昨年ニューカレドニアで開催された会議で会って彼が主張する自決権がレーニンと関係があることやバンドン会議には先進国の中で日本だけ招待された話を教えてあげた。ジャーナリスティックな視点で学術的には研究していない、というのが私の認識である。どちらかというと独立支持派で、運動家的要素も感じる。中共からお金もらってんじゃないの?と疑ったこともある。真実は藪の中だ。いつか本人に聞いてみよう。
その範囲、限界の中でも彼の記事は、4、5月の段階としてはまとめっている。
Coronavirus carrier NIC MACLELLAN 8 APRIL 2020
https://insidestory.org.au/coronavirus-carrier/
Geopolitics meets pandemic in the Pacific NIC MACLELLAN 6 MAY 2020
https://insidestory.org.au/geopolitics-meets-pandemic-in-the-pacific/
上記の4月の記事は原子力空母「セオドア・ルーズベルト」に多くのコロナ感染者が出て、艦長クロージャーキャプテンが下船を強行し(だと思うが)解任された件を引用している。グアムが米領で、独立国であれば寄港を拒否できたのが、米領であるためにリスクを追った。それに比べ独立国である島嶼国はコロナフリーだ。という内容。現在コロナフリーのはずの島嶼国はどんどん感染者が増えている。
5月の記事は、本に引用できなかった箇所としてコロナ禍の4月初頭、大型サイクロンがソロモン諸島、バヌアツ、フィジー、トンガを襲い二重苦に。ここぞとばかりに中国の支援が入り、島嶼国政府も歓迎した話。他方、オーストラリアはフランス、ニュージーランドと締結するFRANZという軍事協定がコロナを機会に活発化し、支援体制が強化された。
このような中国vs欧米諸国 の支援競争の中で太平洋島嶼国は支援をすべてから受けたいし、自分たちに意思で解決したい(出た!自決権!)という太平洋諸島フォーラム事務局長のコメントで結んでいる。