やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ソロモン諸島の君主はエリザベス女王

昨年9月、長年の台湾との外交関係を終え、中国に鞍替えしたソロモン諸島。その中でも人口が多く政治的力も大きいマライタ州の分離独立の動きを産経新聞が記事にしていた。私から見ると勘違いしている箇所が多々あるが、シンガポール=森浩記者の署名記事だ。よく勉強していると思う。

さてソロモン諸島の君主は誰でしょう?エリザベス女王なのだ。このことをSNSで書いたら酷〜い、というコメントがあって驚いたことがある。多分昨年のことだ。

数日前ツイッターで30分時限のアンケートやってみた。たった13票ではあるが圧倒的に英国が押し付けたとの理解である。日本人は戦争から何も学んでいないのだ。「(英米蘭からの)アジアの解放」という妄想にとらわれソロモン諸島の人々にも迷惑をかけてきた。

ソロモン諸島は戦後独立の道を探る中で自ら英国との関係を維持してきたのだ。お引き取りください、とも言えたが、お残りください、と判断したのだ。独立国家となって40年以上経つが女王様を追い出す動きはない。それほどまでに英国の植民は「利用価値があるもの」だったのである。

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ガダルカナルに空港を作った日本軍の動きをいくつかの文章で確認したが計画性がまったくなかったようだ。米国はこの空港を日本軍から奪い基地としインフラが発展した。戦後、日本軍が爆撃したツラギ島の首都は捨てられて、ガダルカナルのホニアラが首都となっていく。

ソロモン諸島の国家枠組みはバヌアツ同様西洋諸国の植民の中で形成されたもの。100以上の言語、部族が統一しようとした歴史はない。だから彼らには統一のアイデンティティであるエリザベス女王が必要なのだ。

興味深いのはマライタ島の人々が、戦争中に米軍の黒人兵の活躍を見て「自決権」に目覚め、戦後独立運動を起こす歴史があることだ。

 

この国連のdecolonizationに関する資料は非常に興味深い。

https://www.un.org/dppa/decolonization/sites/www.un.org.dppa.decolonization/files/decon_num_12.pdf