やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

サモア政権交代劇ー島国の政治・中国・FOIP(2)

話が前後するが、サモアの首相選挙を巡る動き、興味深いので追っています。
以下、友人の現地ジャーナリスト、モニカ・ミラーの報告です。機械訳。

サモアの有権者は今週金曜日に投票に行く必要はありません。
最高裁判所は、サモアの憲法は、4月9日に実施された総選挙の結果を無効にし、新たな選挙を行う権限をAo Mamalu o le Malo(国家元首)に与えていないと判断しました。
サティウ・シマティバ・ペレス最高裁判事は、今回の判決を要約して次のように述べています。
当事者の提出物をすべて検討した結果、我々の判決は次のようになりました。
国家元首は、2021年5月4日に行ったような再選挙を呼びかける権限を持っていない。
4月の総選挙の結果を無効とする合法的な根拠はなかった。
2021年4月の選挙の結果は有効であり、合法的である。
国家元首は、総選挙後45日以内に立法議会を招集するよう憲法の要件に指示されている。
本件を審理し、CJと共に判決を下した主席判事は、ブイ・クラレンス・ネルソンとタファオイマロ・レイラニ・トゥアラ・ウォーレンです。
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 4月の選挙結果を、国家元首が覆そうとしたのだ。それを最高裁が否定した。
国家元首の大権と憲法の議論。しかも旧宗主国英国女王の大権が出てくる。これは非常に興味深い判例だ。国家元首の権限を、伝統的権限ではなく英国元首の権限があると主張する被告側(27−32)に対し最高裁は否定(89−90)
英国のコモンローと言ってもサモアは独立し(憲法1条)サモアのコモンローに準ずべきという反論、だと思います。ここは本件の判決をよく知る法律家の分析を待ちたい。
私は別の優先事項があり今判決文を30分ほど眺めただけだ。背景もまだわかっていない。
しかし、これが自決権の一つの積み重ねだと思う。
 
判決文は英語です。
興味深いのが次の被告人からの説明。サモアの国家元首は英国女王に等しい権限を持つ、と。独領サモアは第一次世界大戦以降ニュージーランド信託統治領であった。その名残だ。あとanti-hopping lawというのがあるのだそうだ。日本語で探したがない。
 
Samoa's Head of State would have all the powers and privileges applicable to the Crown in England, to the extent that these are not inconsistent with the Constitution. This includes a general power to call an election when a government has failed to form.
機械訳
サモアの国家元首は、憲法に抵触しない範囲で、英国の王室に適用されるすべての権限と特権を持つ。これには、政府が成立しなかった場合に選挙を行う一般的な権限も含まれる。