やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

中国と安保協定を締結したソロモン諸島に緊張

マライタ州のM4DリーダーAtu氏とスイダニ州知事

ソロモン諸島で新たな暴動か何か起これば、今度は中国の公安や軍隊が出てくる可能性があるのだ。そんなソロモン諸島の動静を関係者は緊張して見守っている。

一つは「マライタのための民主主義」Malaita4Democracyというグループのリーダーが逮捕された件だ。Atuという。

5月末に警察に自主して逮捕されたという。しかし他の情報では警察から対話をしようと誘われ出向いたところを逮捕されたとも。

M4D FOUNDER AND PRESIDENT SURRENDERS TO POLICE – Solomon Star News

下記の記事ではAtuの逮捕は、ソガヴァレ政権に反対する親台湾のスイダニ知事の勢力を崩壊させるものだとのこと。Atuがマライタ政府の職員であるという嘘の情報をスイダニ知事は打ち消すと同時にAtuが民主主義を推進する地域のリーダーであると。

SUIDANI HITS OUT – Solomon Star News

Atuが1週間後に条件付きで保釈されていた。6月20日ホニアラで裁判があるので出頭する必要がある。

Atu charged, released on strict bail conditions – Solomon Star News

下記の記事は親中のアルフレッド・ササコが書いたもので、Atuの釈放を批判した内容だ。Police Commissionerの判断で、正当な部署を外して保釈された。そしてスイダニ知事が彼と距離を取っているし、以下の文書が続く。

「彼の行動はすべて、誰かの命令によるものだった。今、彼は本当に裏切られたと感じていて、そのような心境になると、たとえ意図していなかったとしても、単に自分の誠実さを取り戻すために何かを起こすかも」と、オブザーバーは言った。

中国の心理戦、情報戦を目の前で見ている。救いはソロモン諸島内部に正義を維持している法執行官がいる、ということだ。

Police executive ‘hijacked’ Atu’s release – Solomon Star News

 

そしてもう一つ気になるニュースが。2023年に予定されている太平洋オリンピックの施設を建設している中国人宿舎が焼けたというのだ。放火か、事故か、それとも濡れ衣を着せるための火事か?本当の話は表に出てこない。専門家を気取る人はなるべく注意して情報を集めてほしい。人の命がかかっているし、今度暴動になれば中国公安が来るのは必須だ。

House Accommodating Pacific Games Chinese Workers Burns - Solomon Times Online