やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

チャゴス判決(1)

チャゴス判決の関連文章を読みだしたが、面白い。 背景にはインド太平洋をめぐる安全保障問題が、即ち中国の一帯一路との関連があると想像していたが、意外にも中国は国際司法裁判所で本件が扱われることを反対する立場であくまでも二国間交渉を支持。南シナ…

ダブ・ローネン『自決権とは何か』ナショナリズムからエスニック紛争へ(2)

日本語訳のための序文でない方の序文は「アメリカ独立宣言」の冒頭の一節が引用されている。今回初めて読みました。 「われわれは、以下の事実を自明のことと考えている。つまりすべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より侵されざるべき…

ダブ・ローネン『自決権とは何か』ナショナリズムからエスニック紛争へ

Dov Ronenの写真を探したが見つからない。これは自伝のようだ。自決権の恐ろしさを身を持って体験してきたのであろう。 自決権の歴史的、理論的議論を、カッセーゼ、カー、松井、丸山の議論でまとめようと思っているのだが、図書館で偶然見つけた『自決権と…

モンテーニュの「エセー」

ルソーの「善良なる野蛮人」のアイデア。フランスのモラリスト、ミシェル・ド・モンテーニュ(1533−1592)の『エセー』(1580年)にある「善良なる野蛮人」を参考にしたというがどのように書かれているのか気になって借りてきた。 この本はフランス…

【正論サロン「中国の太平洋進出と島々の闇」】6月5日

正論サロン、いよいよ来週に迫りました。大阪正論室長の小島さんからすでに申し込みは110名とご連絡をいただき、足が震えています。まだ申し込めるそうです。 島の闇、自決権、人権の嘘、暴き出します。 【正論サロン「中国の太平洋進出と島々の闇」】6月5…

欧州人に「自由」を誤解させた「太平洋の善良なる未開人」

6月5日の正論サロンで使うパワポの最後の一枚。自決権を触れたい。何で小島嶼国が誕生したのか? 自決権にもつながる「人間の自由」。 「すべての人間は、生れながらにして自由…」世界人権宣言の第一条。 このあやふやな概念の起源の一つに太平洋島嶼の人…

日米台安全保障協力の方向性 Direction of Japan-U.S.-Taiwan Security Cooperation

May 29, 2019International SymposiumDirection of Japan-U.S.-Taiwan Security CooperationJapan-U.S.-Taiwan Cooperation in Preparation for Taiwan Contingencies Joint Statement PrefaceThe International Symposium on the Direction of Japan-U.S.-T…

五十嵐正博著「国際連合とミニステート」

このブログで叫んでいる小国の限界。いくらナンでも人口数万人の国家と数千万人の国家が同等というのは無理がある。その無理は小国自身に、具体的には女の子達が自国のリーダー達の手で麻薬漬けにされて売春させられるパラオのような小島嶼国、しかもフェイ…

パラオの闇

islandtimes.us パラオの新聞 Island Times から頼まれて、オピニオンを書きました。 なぜナカムラ大統領は私に、国内問題である麻薬から子供を守ってくれ、助けてくれと頼んだのか。 悲しいことにパラオのリーダーの子供、奥さん達が麻薬に手を出しています…

アントニオ・カッセーゼ「人々の自決権—その法的再評価」

博士論文で扱う自決権。なんとなく全体像が見えてきたのだが、少しずつ書いて行きたいと思う。論文の参考となるような読書メモだ。 まずはなんと言っても国際法学者のアントニオ・カッセーゼ博士の”Self-Determination of Peoples – A Legal Reappraisal “ …