チャゴス判決の関連文章を読みだしたが、面白い。
背景にはインド太平洋をめぐる安全保障問題が、即ち中国の一帯一路との関連があると想像していたが、意外にも中国は国際司法裁判所で本件が扱われることを反対する立場であくまでも二国間交渉を支持。南シナ海の仲裁裁判の件があるからであろう。
チャゴスの人々を支援する英国内のNGOのサイトなども見てみた。
主導して入るのはテレビの元キャスターで世界を飛び回って入る英国人男性だ。
どうやら英国はチャゴスの人々を島から追い出す時に相当手荒な、非人道的扱いをしたようである。今回の裁判にも参加したチャゴスの女性は身重な体で船に乗せられ4時間の船旅の末、死産をしたとのこと。その他イギリス担当官の人種差別的発言なども紹介されていた。
ここで思い出したのが、イリオモテヤマネコをめぐるエジンバラ公と現上皇陛下、当時の皇太子殿下のやりとりだ。1978年のこと。エジンバラ公が絶滅に瀕しているイリオモテヤマネコを守るため島民の活動を規制する内容を図々しくも皇太子殿下に提案しているのだ。幸いにも皇太子殿下は人間と自然の共生の主張した。
「保護の処置は、その島に住む人たちの生活と両立できるようなやり方で、しかも島の人たちが、イリオモテヤマネコやその他の生物を貴重な宝として誇りに思えるようなやり方で、遂行されることが望まれます」
英国王室の、島に住む人、もしくはアジア民族に対する差別的な態度と理解して良いのではないか。これが環境保護の実態だ。これは王室だけでなく英国人一般もそうかもしれない。過去のチャゴス判決は海洋保護区が焦点であったが、その時も英国の官僚か軍人が英国人はチャゴス人の人権には関心はないが、海洋保護区であればすぐに世論が動き、環境団体のピューチャルタブルトラストが啓蒙活動を支援するであろう、というようなコメントウィキリークスに暴露されていた。
即ち、チャゴスの人々の人権など(一部を除く)英国国民も王室も気にかけていないのだ。
しかし、インド太平洋戦略上、チャゴスにある英米の軍事基地はさらに重要度をましているように思う。それに例え英米が軍事施設をチャゴスから引き払って、島の環境を整え島民が帰れるようにしても、モーリシャス政府がチャゴスをしっかり面倒見れるのであろうか?
チャゴス判決、自決権、海洋保護区、そして英国人の人種差別、さらにインド太平洋戦略をめぐる中国との鞘当て、そんな構図が見えてきた。