2010年11月6~8日いよいよクリントン国務長官が豪州を訪問した。ゲーツ国防長官も同行し、米豪の防衛協力を協議。太平洋の安全保障を強化する。
たった5年前にアーミテージがキャンベラで述べた下記のコメントがウソのようである。
「南太平洋?そんなものわからん。わかる気もない。アメリカには他に重要な地域がある。南太平洋はオーストラリアに任せるよ。用があれば電話でもくれ。」(早川訳)
(原文)“I’ll freely admit that no Americans understand the South Pacific. And we leave that to you. Be glad to help you in any way you see fit. But we just don’t understand it. Perhaps it’s a good thing we don’t understand it – we keep our meddlesome hands off it and leave it to you.” Armitage R 2006. Answer to questions. Menzies Research Centre, Parliament House, Canberra, 6 November.
繰り返すが、冷戦終結後地球の3分の一を占める広大な太平洋の安全保障は豪州が一人担ってきた。EEZ制定に向けて始まったPacific Patrol Boat Programに豪州政府は30年、2千億円の費用を拠出してきた。
この事業は「持続」の観点から問題も多いことが豪州国防省からも指摘され、中止する方向だったが、笹川平和財団のミクロネシアでの新たな活動に刺激され、通関国境警備局に移管する形で新たな方向を模索することとなった。
今回のクリントン国務長官のアジア太平洋訪問のメインは豪州である。なぜか。米国は自分たちがアジア太平洋への関心が低かった時期、同盟国の豪州が一人安全保障分野で対話を維持し、支援してきたことを認識しているからである。豪州政府の太平洋島嶼国へのガバナンスセクター支援の3分の2が安全保障分野である。(2007-2008年の数字、額にして250 million AUD)。またアフガンで失った豪州兵士の命は21人になる。
先日の守屋氏の講演によれば、太平洋、インド洋で遠洋に出て活動できる海軍を持っているのは日本、オーストラリア、中国、ロシア、インドだけ。豪州海軍は13000人と日本の海上保安庁とほぼ同数だが、その4倍いる同盟国日本の海上自衛隊との協力は難しい。とすれば今のところ米国が太平洋を共に守れる友人はオーストラリアしかいない。
"US 'has no better friend' than Australia"とは今回の豪州で述べたクリントン長官のコメントだ。
ここで海上保安庁と共にミクロネシアの海洋権益を、勿論米豪も入れて、守ろうと動きだした、私の事業が意味を持って来るように思う。
(文責:早川理恵子)