やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

Quadrilateral Defense Cooperation

Quadrilateral Defense Force

 前回の出張、ホノルルに同行したメンバーが米国沿岸警備隊との会議で

「ジョイントオペレーションに燃料支援をする事って意味あるんでしょうか?」とサラッと質問。

 年2回、ミクロネシア3カ国(もしくは2カ国)共催でFFAが調整役、米豪NZが支援する形で10日から2週間のジョイントオペレーション(*)を実施している。

 このオペレーションに参加するミクロネシア警備艇への燃料支援を我々は検討している。

 この質問に、(オイオイ身も蓋もない事聞くないよ。意味ない、なんて言えないじゃん、)と心の中でつぶやいた。ところが米国沿岸警備隊から意外な反応が。。

「ジョイントオペレーションへの燃料支援は非常に意味があります。過去に燃料がなくて参加できなかった島嶼国の船もあり、支援国の参加の意味がなくなるからです。燃料が保障されれば島嶼国の参加が確実になる。そうすると4カ国防衛協調国の参加インセンティブがあがるのです。」といった内容を米国側2、3人がかりで熱弁された。

 そんなだいそれた意味があったのか!

 4カ国防衛協力 ― Quadrilateral Defense Cooperationは米豪NZ仏の枠組みである。Law Enforcement ― コーストガードがない豪NZ仏は軍隊が窓口だが、米国は一義的には沿岸警備隊が窓口のようだ。

 我々の支援は一義的にはミクロネシア3国への支援だが、見方によってはこの4カ国防衛協力の枠組みにNGOが参加する事になる。

 身も蓋もある質問だった。

 日米同盟どころではない。日米豪仏NZ同盟だ。

 この案件、いよいよ面白くなってきた。

*"Operation Rai Balang" と年によって"Operation Island Chief" "Operation Bigeye"のどちらかが実施される。

 今年ミクロネシア連邦では燃料費を充当する予算から日本への災害支援に100,000米ドル供出することが国会で決議され、実は今年も厳しい状態。