やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

バヌアツ、米国沿岸警備隊とシップライダーズ協定締結

パラオ大統領選を追っていて、なかなか他の国の事(それとBBNJや新渡戸の植民論の事も)が書けないのだが、昨日バヌアツが国沿岸警備隊とシップライダーズ協定締結をしたニュースが流れていたので紹介したい。

 

今月号の雑誌正論の寄稿した文章の中にも書いたが、米国沿岸警備隊は、2008年頃から太平洋島嶼国の海洋警備活動を支援する方法として「シップライダーズ」方式を取っている。

太平洋島嶼国の海洋警察と協定を締結し、米国沿岸警備隊の警備艇に島嶼国の法執行官を乗船させ、島嶼国の海洋警備を行う。

法執行は基本的に島嶼国の警官が行うが、パラオなどは米国沿岸警備隊が法執行を行う事を了解しているらしい。これはパラオの国務長官から伺った。パラオは米国と安全保障に関する協定があるから、なのかもしれない。

 

当方が2、3年前にUSCGに確認した時は、このシップライダーズを島嶼国の10カ国近くと締結していたので、バヌアツでほぼ全体をカバーした事になるのかもしれない。

 

他方、早くからこのシップライダーズを締結したミクロネシア3カ国は、肝腎の米国沿岸警備隊の警備艇がほとんど来ない、と嘆いていたのを思い出す。どれだけ効果があるのか検証されているのであろうか?USCGへの予算は一向に増えない、とも聞いている。

 

シップライダーズ方式は、豪州海軍も支持している。なぜか?

島嶼国に警備艇を供与しても、人員が足りない、燃料費がない等の理由で利用されない。また島嶼国では補修、点検ができないので、豪州が供与している警備艇はわざわざケアンズまでもって来ているのだ。そのため、島嶼国に一隻しかない警備艇が数ヶ月不在、と言う事はままある状況だ。

 

Historic agreement gives Vanuatu access to US Coast Guard vessels for maritime law enforcement

Posted: November 2, 2016

https://vanuatudaily.wordpress.com/2016/11/02/historic-agreement-gives-vanuatu-access-us-coast-guard-vessels-maritime-law-enforcement/