ジョージ・ツポウ5世 (1)– My “Your Royal Highness”の思い出
故笹川良一名誉会がトンガ王国の日本名誉領事を拝命されていたため、この日曜日香港で亡くなられたジョージ・ツポウ5世が来日された時は空港への御出迎えが、財団に入ったばかりの私の業務の一つだった。
こちらが把握しているだけで年に2、3回は日本にいらしていた。しかも、突然トンガ外務省から「明日朝9時にジョージ・ツポウ皇太子殿下(当時)が成田に到着しますので、御出迎えよろしく。」というファックスが届くのだ。
朝4時頃起きて東京の財団に向かい、車で成田に御出迎えする。お付きの方は一人か二人。これが小国の皇室の現実だ。早起きよりも胃がキリキリ痛んだのは東京のホテルまでの車内での会話だった。
まずなんと御呼びすればよいのか。自分で調べて「Your Royal Highness」であることがわかった。舌を噛みそうになりながら、「ゆあ・ろいやる・はいねす、あれは室内スキー場でございます。」とか言って時を過ごした。
幸い、共通の趣味があった。Your Royal Highnessはジャズピアノを即興で弾くほどの腕前なのだ。一度だけ、トンガの公邸で聴かせていただいたことがある。Kawaiピアノだった。
お出迎え業務のお陰で、名前と顔は覚えていただけたようだった。
2006年偶然オークランドでお会いした時は、今晩一緒に刺身を食べに行こうとお誘いいただいた。これが最後にお会いした機会となってしまった。
そのすぐ後にツポウ4世がご逝去され、トンガに行く機会があった。当時トンガ外務省は日本に正式な大使館を置く計画を立てていた。
結局今でもトンガ政府の公式な事務所は日本になく、日本外務省のウェッブによると在豪州のトンガ王国大使館が兼轄、とある。