やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

属国日本

 太平洋で仕事をしていると、日本は戦争に負けたんだ、その負の遺産を未だに背負っている、ということを痛感せざるを得ない。

 太平洋の国際地域機関SPC, PIF, FFA, SOPAC, USP, TCSP, SPREP, PIDP, 日本はお金だけ出してどこにもそのメンバーシップはない。

 唯一のメンバーシップは漁業資源管理の国際組織WCPFCだけである。

 そんな事を語る本になかなか出会えなかったが、昨年から続けて3冊の本に出会えた。

『属国・日本論』副島隆彦著 五月書房 2005年発行

『さらば吉田茂片岡鉄哉著 文芸春秋 1992年発行

『戦後史の正体』孫崎享著 創元社 2012年発行

 私は自主独立路線より、属国に位置しながら最大の利益を得る方法を模索する方がよいように考えている。

 属国には属国の生き方があるし、宗主国ー米国も一枚岩ではない。また宗主国の友人達−西洋諸国も時に米国に手厳しい批判をするので、その動きは見逃せない。ーこれらは島嶼国の政治から学んだ事である。小さな島国は米ソ相手に交渉もするし、キャンベル国務次官補を歓待しつつ平気で皮肉を浴びせる。

 他方、世界一の経済力と軍事力を維持する米国もそれはそれで苦労が多いはずである。年間6,500人の退役軍人自殺者を出しているのだ。

 米国の世界一のEEZの半分は太平洋にある。一見属国に見えようと、米国をうまく補佐してあげるのが、結局は日本の多角的自主的外交につながるような気がしている。