やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

海軍が護るマグロ

 

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こんな米軍の船が太平洋の公海でマグロを護るという口実で展開。実際に漁業資源を護っているのかは未確認

 

今回の島サミットの見所がマグロである事を以前書いた。

 そしてそのマグロが豪州王立海軍に太平洋でのレゾンデートルを与え、米太平洋司令軍(PACOM)に太平洋展開の理由を与えている事も書いた。

 その事をさらに証明するような資料だ。

 以前書いたがWCPFCに公海取締の合意があり「太平洋への回帰」を唱えていた米国が2012年に新たに76隻を追加したのである。詳細は下記を。

 WCPFCのウェッブを確認したら、なんとこの5月2日に米国は新たに22隻、豪州は36隻を追加登録している。

https://www.wcpfc.int/high-seas-boarding-inspection

 

現在WCPFCの合意の下、208隻の公海監視船が登録されている。

各国内訳は下記の通り。(検算してませんので多少の誤差が)

米国103隻

豪州46隻

台湾13隻

ニュージーランド12隻

フランス8隻

カナダ5隻

パプアニューギニア4隻

ミクロネシア連邦3隻

韓国3隻

日本2隻(水産庁の取締船、東光丸と白竜丸)

クック諸島1隻

キリバス1隻

パラオ1隻

ツバル1隻

 

追加された米軍の船は下記のページの写真にあるように法執行船ではない。

明らかに軍船である。

米国はこれらの軍船にUSCGかNOAAの法執行官を一人乗せる事で法執行船とみなす事にする取り決めが国防省と国家安全保障省の間にある。国家安全保障省の存在自体もそうだが、このシステムは9.11の遺産でもある。豪NZ仏は法執行機関はないので全て海軍。

https://www.wcpfc.int/system/files/USA%20Photographs%20of%20Inspection%20Vessels_WCPFC_USNS_12MAR2015.pdf

 

WCPFC-中国もメンバーである。しかしこの公海取締に中国から一隻も登録していないのは何故であろう?