やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

「安倍論文」ー "Asia’s Democratic Security Diamond"

 リアリスト評議会「アメリカ通信」https://www.facebook.com/realist.jpに安倍首相の論文が紹介されていた。海洋安全保障に関わる内容で本ブログのテーマとも関係ある。

 

 この「安倍論文」、プラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトに、12月27日付けで掲載されたが日本のメディアは殆ど無視しているそうである。

 

"Asia’s Democratic Security Diamond"

http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe

 

日本語訳もされています。

「なぜか報道されない安倍総理のセキュリティダイアモンド構想」

http://kennkenngakugaku.blogspot.jp/2013/01/blog-post_10.html?spref=tw

 

 

 中国に刺激を与える内容、との批判もあるようだが、日米豪(印)で太平洋の海洋安全保障を、というのは我々のミクロネシアでの活動に一致する。ただし安倍論文にある「日中関係を向上させるなら、日本はまず太平洋の反対側に停泊しなければならない。」とある停泊すべきはLaw ShipでWar Shipではない。War Ship でも法執行官を乗船させるか、また太平洋島嶼国の法執行機関との協力が必要である、と考える。

 2千年の友人である中国の脅威は、中国自身がマネージできない国内問題であろうと当方は考えている。その脅威を正しく、時に中国に軸足を置いて理解する努力が必要だと思う。

 また、米国の拡大主義の遺産でもある同国の太平洋における「危うさ」「うさん臭さ」もこれも最強の友人として、リアリスティックに見て行く必要があると考える。

 現在、太平洋はアメリカの湖であり、豪州、ニュージーランド、フランスの湖でもある。敗戦で日本は太平洋から撤退したが、旧敵国の米豪が手招きしている今を逃してはならない。ミクロネシア3カ国も日本の役割に期待している。

 共通の利益もある。豪州も米国も、そして日本も最大の貿易相手国は中国である。

 

 

この安倍論文を受けた「The Diplomat」のホルムズ氏の記事も興味深いのでリンクします。

 

南シナ海「北京の湖」2013年1月7日 ジェイムズ・R・ホルムズ

http://kokkai-sokuhou.iza.ne.jp/blog/entry/2977233/

 

The South China Sea: “Lake Beijing” By James R. Holmes January 7, 2013

http://thediplomat.com/the-naval-diplomat/2013/01/07/the-south-china-sea-lake-beijing/