やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

米国の自由連合を忘れていない安倍総理 ー 日・ミクロネシア首脳会談

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令和元年11月14日 日・ミクロネシア首脳会談等 | 令和元年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ

「2023年にコンパクト協定に基づく米国の財政支援が期限を迎える問題も念頭に,米豪等の同志国とも連携し,ミクロネシア連邦の持続可能な経済社会開発のための支援を強化していく」

 ミクロネシア連邦パニュエロ大統領を迎えた安倍総理のコメントの一部である。私はこれを見てほっとした。なぜなら河野防衛大臣がツイッターで高々とミクロネシア連邦の安全保障を支援することを宣言していたからだ。

 多分、官邸は、外務省はわかってないんじゃないか?ミクロネシア地域って米国の戦略的地域で安全保障は米国傘下にあって、自由連合という、米国に半分足を突っ込んでいるような完全な独立国、というわけでもない地域であることを。。

 もちろん先般私が協議したインド太平洋軍はこの日・ミクロネシア首脳会談を知らなかったのでこの官邸のサイトを送っておいた。

 官邸か外務省かできれば防衛省、水産庁、国交省、オールジャパンで、米国まで行かなくてもせめて米国大使館に今回のパラオ・ミクロネシア連邦大統領の来日の詳細を報告すべきだ。そして国会議員と共に日米豪の対ミクロネシア支援タスクフォースを設置し台湾も視野に入れた支援政策を構築すべきである。

 以下、安倍総理への提案です。

 

安倍総理殿 (これで出しました。)
昨日の日本パラオ外交樹立25周年記念のスピーチは素晴らしかったです。太平洋島嶼国を30年以上見てきて、また1999年には三塚博議員をパラオにご案内した私にとって「日本はここまで来たか」と感動しました。
日本とパラオの関係はドイツ時代より以前からあり、ドイツ時代も商売は日本人が主導していたのです。日本の太平洋進出は明治維新で職を失ったサムライ達が授産金で天佑丸を1890年に出港させたのが一つのきっかけでした。
さて、日本のパラオ、ミクロネシア、そして太平洋島嶼国へのコミットメントは大歓迎ですが、他方、米豪NZは太平洋を自分たちの「裏庭」だと思っています。にも拘らず冷戦終結後彼らが太平洋島嶼国から関心を失った事が中国に道を受け渡す原因であったことは明かです。
歴史を顧みれば米豪NZは太平洋から日本を追い出すために戦争をしたのです。そして彼らは勝った。悔しいが日本は敗戦国として一歩下がる必要があると、これは30年の現場の経験から学びました。よって日本の対太平洋島嶼国政策は彼らの立場を考慮し、ミクロネシア大統領との会談で総理が強調されているように米国との自由連合を尊重した支援であるべきです。
それが米豪との要らぬ摩擦を避け、インド太平洋構想のシーパワーを持つ日米豪の関係をさらに強化する効果も得られます。
昨日インド太平洋軍から連絡を受け電話会議を実施しました。彼らも悩んでいます。