民主党オープンフォーラム「近現代史研究会」で”第一次世界大戦後のアジアにおける国際政治体制”というテーマの講演があるという。講師は三谷太一郎教授。ご近所の方からの情報。
「第一次世界大戦」当方の今年のテーマである。
講演は第一次世界大戦後のワシントン体制を中心に展開された。
当方の関心はもっぱら第一次世界大戦前後のミクロネシア諸国を巡ってだったので、中国のナショナリズム、国際金融体制とウォールストリートなどの話は、絵が一機に広がったような気がして面白かったし、勉強になった。
<日本は元祖「軍産学複合体」>
質疑応答では三谷講師から「軍産複合体」は日本が先駆けていた、しかも軍産だけでなく学も入った「軍産学複合体」であった、という話はちょっと驚いた。で、早速グーグルで探すと東京大学のサイトにあった。
帝国大学工科大学の時代(明治~大正時代)
一つは明治の初めに開校した工部省(現在の経済産業省にあたる)の附属学校である工科大学校で、明治13年(1880年)には造船学の授業が開始されました。もう一つは東京大学理学部に明治17年に置かれた造船学科です。
明治19年3月、この二つの学校は合併されて帝国大学工科大学となり、両造船学科もこれに編入されまし た。明治の初め、蒸気船は工業技術の粋を集めたものであり、その設計・建造にたずさわる技術者の育成に大きな力が注がれました。
東京大学大学院 環境海洋工学専攻http://www.naoe.t.u-tokyo.ac.jp/history/history-j.htmlから
ここに海軍や三菱重工のよなうな産業界が加わっていたのであろう。
富国強兵の時代でった。そうでなければ日露戦争で勝てる訳がない。確か日本は英国に次ぐ世界第二位の海軍力を持った時期があったのではなかったか?
<海洋管理と軍事産業>
軍事産業に関してはパラオのEEZ監視を巡り、ドローンや衛星等、ライブで生でそのやり取りを見る機会に遭遇した。その売り込み姿勢はすごい。この軍事産業、なんだかパラオのEEZなんてどうでもよく、自分たちの利益優先、といイメージを植え付けられてしまった。そしてそこには産官学がしっかり組み込まれているし、産業界には元軍人、元沿岸警備隊、という人も多い。天下りなんて当たり前。
「産官学」がいいのか悪いのかはあまり重要な議論ではないような気がしている。要はこれが実際に海洋管理に役立つがどうかだ。
<第一次世界大戦から学ぶもの>
我々は歴史から学ばなければならない。南洋統治という日本が太平洋へ大きく踏み出した第一次世界大戦後の歴史は、今また安倍総理の太平洋訪問を控え、日本がどのような政策を取るべきか、という当方のquestionにもつながる。そこには米豪日の共通認識としての中国もあるし、世界の共通認識としての漁業資源や海洋環境管理もある。
三谷講師のポイントは現在の「国際政治の多極化に適合した国際政治秩序の理念の必要性」であり、それは第一次世界大戦後の、即ちワシントン体勢の歴史から学ばなければならない、という事だ。
<追記>
明治から昭和の軍事費の統計があった。
帝国書院のウェブ https://www.teikokushoin.co.jp/statistics/history_civics/index05.html
軍事費(第1期~昭和20年)
1894年日清戦争の時、前年度の27.1%から69.4%に跳ね上がっている。
日露戦争の1904年。47.9%から87.9%と約2倍。
そして第一次世界大戦の1914年、33.5%から35.6%これはほぼ同じ。