シンゾーとトニーの約束。
日豪首脳会談の合意事項の一つが「アルバニー船団記念式典」日本海上自衛隊艦艇の参加である事は以前ブログに書かせていただいた。
この合意の流れ(の一つかもしれない)を作ったのが、私である。 安倍総理太平洋訪問に向け関係諸国、特に豪州の日本に対する反応が懸念されていた。私はキャンベラに飛んだ。
その時手にしていたカードの一枚が日豪海軍協力100周年であった事も以前書かせていただいた通りだ。 この日豪海軍協力100周年の詳細を知ったのは、平間洋一元防衛大学教授のウェッブサイトであった。全く存じ上げない方であったが、日豪首脳会談の結果だけがなんとかお伝えしたく、ウェッブサーチをしたところ、お元気でご活躍でしかもFacebookに登録されていた。きっと頭のおかしい女からのメッセージと無視されるかもと思いつつご報告したところ、お返事がいただけた。
百年前、ANZACの防衛能力を見極めていた海軍大臣ウィンストンチャーチルは自国の外務省をすっ飛ばして、日本にANZAC護衛を含む太平洋の防守を日英同盟にもとづいて要請したのである。しかし、白豪主義、人種差別を国是とする豪州のヒューズ首相はその事を一切国民に知らせなかった。(詳しくは平間洋一先生の『第一次世界大戦と日本海軍 ー 外交と軍事との連接』(慶應義塾大学出版会)をご参照ください。) 「アルバニー船団記念式典」日本海上自衛隊艦艇の参加は百年前の協力関係を政府レベルで始めて認めたという事である。当方は潜水艦協力より重要な防衛協力へ向けた日豪首脳の合意であると考えている。
しかし、この件誰も、外交官さえ、学者さえ、知らないので、非力ながら日英両言語で機会を見つけ伝えさせている。 ところが、見ず知らずのオーストラリア人、ニュージーランド人から「消え去れ盆栽女」とか「牛の糞」という暴言を受け取るのである。11月に予定されている「アルバニー船団記念式典」がなんだか不安になってきて、平間先生に伝えたところ下記のお返事をいただいた。転載許可をいただいたのでそのままコピーします。勿論涙が出て来ました。
私は1962年の最初の豪州遠洋航海にフランス語幕僚として参加、松尾丁重のご母堂様から日本人形が託送され、その管理引渡しを致しました。しかし、その時には貴女のように乗員が町を歩くと罵倒を浴びせられました。しかし、それを変えたのが唾を掛けられた一水兵の態度でした。彼はポケットからハンカチを出し平然と立ち去りました。これを見た一少女がオーストラリア人として恥ずかしい、との投稿をするとJapはJapだとか、恥ずかしいとの大議論が起こりました。
この事件を境に練習艦隊の訪問が大きな話題となり、大使館が開く歓迎会が一流ホテルに断られ、3流のホテルで開くことを知った豪州海軍は、韓国とは逆に一流ホテルに変更させました。また、申し訳ないと乗員を家に招待する希望者の車が列をなし、割り振りする私が人員の確保に、当直員まで動員したことを思いまします。
早川さんも一水兵を見習い、毅然として行動して下さい。なお、家族のことを書きますと、ニュージーランドの艦上レセプションに参加したホリーオーク(不確実)夫人が、私の長男が生まれたことを知ると翌日、秘書官からベビー用品一式を贈ってくれました。ピンチはチャンスです。頑張って下さい。平然と。
歴史にifは必要である。 もし、ヒューズ首相が日本の協力を豪州ニュージーランドの人々に広く知らせていたら、第二次大戦につながる両国の反日感情はある程度押さえられていたかもしれない。 今、豪州で真剣に日豪防衛協力の可能性が検討されている。防衛白書作成関係者から意見を聞かれるのである、根っこの所にある感情を超えないと、日豪防衛協力は進まないのではないか、と伝えている。 「アルバニー船団記念式典」日本海上自衛隊艦艇の参加の意義につて、日豪両国で語るべきである。