パラオで開催されたPIF総会の大きなテーマが事務局長選であった。
パプアニューギニアのDame Meg Taylorが選出されたのだが、これにフィジーの新聞がPNGの裏切り行為だ、と難癖をつけ、それに対しPNGはルードである、応酬した。
一体何があったのか?
フィジー人のAmbassador Kaliopate Tavolaも候補の一人であった。PIFには戻らないと言っているフィジーがなぜ候補を出したのか?これも謎であった。
「消息筋」によるとフィジー人候補を選んだはメラネシアスピアヘッドというメラネシア諸国のグループ。即ちメラネシア諸国は一致してフィジー人のAmbassador Kaliopate Tavolaを押す予定であった。
なぜ、予定が狂ったのか?
ここに西パプア問題が絡んで来る。
このメラネシアスピアヘッドグループ、元々はニューカレドニア、西パプアのメラネシアの同胞の独立を支援する事も目的とし、今でもその目標を掲げている。よって現在インドネシア領となっている西パプアを抱えるインドネシアとメラネシア諸国(パプアニューギニア、フィジー、ソロモン諸島、バヌアツ)は対立関係にある。が実際は複雑に入り組んだ関係がある。とても一言では言い切れない。
西パプアが独立せずにインドネシアに留まった理由も入り組んでいて一言で言い切れないのだが、一つの理由が世界最大の金鉱山FreePortがある事。米国企業のFreePortがインドネシア軍を雇って今も地元の西パプア人への弾圧、虐殺を繰り返している、という話だ。この鉱山をインドネシアが国有化しようという話もあるらしい。ここに米インドネシアの緊張関係も出て来る。
インドネシアとメラネシア諸国の対立関係、と単純な構図ではない。
インドネシアの政治、経済、軍事力はメラネシア諸国にとっても重要である。特に対主要援助国である豪州、もしくは世銀IMF等々同盟国(米国と言うべきか)パワーに対抗するカウンターパワーとして利用できる可能性があるのだ。
フィジーが最近主催した太平洋島嶼国地域会議(PIDF)にはインドネシア大統領が主賓として参加。太平洋島嶼国に対して約20億円の支援(気候変動)を表明した。
現在インドネシアと豪州は難民問題を巡って緊張関係にある。フィジーと豪州もクーデター以来の緊張がある。即ち、敵の敵は味方の図式で、フィジーとインドネシアが急接近したわけだ。
しかし、他のメラネシア諸国にとってはインドネシアとの接近は西パプアを見捨てる事を意味する。
よって、今回の事務局長選では、一度合意したフィジー人候補をメラネシア諸国が見捨て、PNG候補を支援した、ということらしい。
以上、わかっていただけましたでしょうか?私も理解できているかどうか自信がありません。
ちなみに、今年笹川会長が訪ねた西パプアのビアク島。ここは日本軍が4千メーター近い空港を建設。赤道近くにある事から現在ロシアの衛星打ち上げ基地となり、インドネシアーロシア軍事協力の拠点ともなっている。
インドネシアが西パプアを手放したくない理由の一つだ、と伺った。
インドネシア独立を支援したのも日本。もし、日本が先の大戦で勝っていたら西パプアはどうなっていたであろうか?米国が西パプアを見捨てた背景には鉱山だけでなく、当時のインドネシアにおける共産主義対策もあった。
西パプア問題、一番の黒幕は米国ではないか、と考えているが、米国に西パプア問題を対処する気配はなさそうである。水面下であるのかもしれないが。。
この西パプア問題。以前は情報がなかなか得られなかったが今はあらゆるSNS, Youtubeで情報を得る事ができる。関係者を知っているが以前は命がけの情報提供であった。今もその現状は変わらないが、少なくとも一般人がインターネットで多くの情報にアクセスでき、以前よりオープンに語れるようになったように思う。
その動きを支援してきたのがメラネシア諸国である、という事は書き留めておきたい。