やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ソロモン諸島台湾断交、転覆なるか? (2019.10.1)

 9月16日、ソロモン諸島台湾断交してから2週間が経つ。

 先日インド太平洋研究会では郵便学者内藤陽介先生をお招きし「ガダルカナル島の近現代史」を開催。日本のソロモン諸島理解に大きな一歩を示すことができた、と思う。

 そこで、私も力を入れソロモン諸島及び、近隣のメラネシア諸国の事は引き続き追って行きたい。

 早速ソロモン諸島で動きが。現地メディアSolomon Starからである。(この新聞の論調は反中、親台だ。台湾か、米国か、しっかりメディアを抑えているのであろう。という事で世界の世論動いてください。)

 

Civil societies to deliver petition today - Solomon Star News

まずは、ソロモン諸島の市民組織がソガバレ首相退任を迫る嘆願書を提出とのニュース。市民組織はソガバレが市民の声を無視していることに怒りを表明。

Maneniaru and Kuku axed, Lanelle resigns - Solomon Star News

ソガバレ首相、首相大権で新たに2人の閣僚を更迭。警察大臣は自ら辞任。これで4名の閣僚が更迭された。もう1名ソガバレのリストに残っている。

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John Maneniaru 

Deputy Prime Minister, Minister for Fisheries and Marine Resources, Parliamentary Wing Leader for KADERE Party in the Democratic Coalition Government for Advancement 

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John Dean Kuku

Minister for Education and Human Resources,   

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Lanelle Tanangada

Minister for Police 

 

先週更迭された閣僚

f:id:yashinominews:20191001103303j:plain Rick Hou, Planning Minister

f:id:yashinominews:20191001103355j:plain Dr Tautai Angikimua Tautai, Minister for Justice and Legal Affairs

 

これから更迭される大臣

Samuel Manatoali, Minister for Traditional Governance, Peace and Ecclesiastical Affairs 

 

China envoy here - Solomon Star News

中国外交団がソロモン諸島到着。しかし、大々的な歓迎は行われずメディアの照会に政府は回答がなかった、という。相当な緊張がソロモン諸島にあることを予想させます。

到着したのは在パプアニューギニアXue Bing中国大使。ソロモン諸島政府側で出迎えたのはMinister of Mines and Energy(鉱山エネルギー大臣) Bradley Tovosia。

 

*メラネシア諸国、ソロモン諸島の政治を理解する鍵は<メラネシア社会主義>

 先日の内藤陽介先生の講演に出てこなかった話がある。メラネシア諸国(西パプア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、フィジー、ニューカレドニア)多民族である。半端ではない。パプアニューギニアは900、ソロモン、バヌアツはそれぞれ100位。国家として統一しようとという動きはまさにこの数十年。この地域の人間の歴史は数万年だ。

 すなわち地方の独立性が高い。これがポリネシアと大きく違うところ。ポリネシアは数千年前に植民してきた民族で、オーストロネシア語族である。明確なヒエラルキーが形成された社会構造。

 他方、メラネシアは、バヌアツのリニ初代首相が提唱した<メラネシア社会主義>というマルクスやレーニンとは違う「あなたのものは私のもの、私のものはあなたのもの」という平等概念、共有概念がある。Melanesian Wayとも言う。