号外 カジノ法案上院否決
日本の事ではない。パラオの話です。
昨年11月に11対1の圧倒的多数で下院の支持を得たカジノ法案。
年明け1月14日、上院で圧倒的多数3対一で即刻否決された。
この結果がパラオにとって吉か凶は判断が別れるところ。
否決した上院議員はパラオはカジノを運営する準備が整っていないから、とコメントしていた。例えばマネーロンダリング対策等である。皮肉な事だが、もしパラオにカジノ運営の体制ができたら、即ち法執行体制が整ったら、パラオでカジノを行う旨味はなくなってしまう、という話かもしれない。
このカジノ法案、現地の人は参加できない。外国人だけ。しかもすごい金額の初期登録料と年間ライセンス料を設定している。50年契約で初期6年間、毎年50ミリオン米ドルの支払いが義務づけられている。6年で300ミリオンドル、約300億円。それだけ払ってもパラオでカジノをやりたい、即ち逃がしたい、お金がある、という事ではなかろうか?
300ミリオンドル。聞き覚のある金額だ。
米国との自由連合協定下のグラントは10年後位に中止される予定。
この対策として、信託基金を積んでいるが、この目標額が400ミリオンドル位なのである。しかし、この基金予定通りに積み上がっていないどころか、目減りしている年もある。
今回のカジノ法案、この自由連合協定グラント対策ではなかったのであろうか?
本来は米国が面倒をみるべき話であるが、冷戦終結後、当該地域の戦略的意義を失った米国にその意思は「ほぼ」ない。残された選択肢はカジノか、タックスヘブンか、マネロンか、海底鉱山開発か?
いや、日本が残っているではないか。
日本は沖縄に毎年3千億以上の予算措置をし、昨年は使い切れず残したというし、沖縄の知識人からはそんなにいらない、との声も聞く。
パラオに毎年20から30億円の財政支援金を日本が出す意義は、旧宗主国として、125年の歴史からして、十分あるのではないだろうか?米国と違い、パラオは日本の隣。海も大陸棚もつながっている。地政学的根拠も十分ある。