やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

バヌアツ、サイクロン被害状況

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家屋の80%が倒壊、畑100%被害を受けたタナ島に到着したフランス軍のヘリコプターから援助物資を運ぶ子供達 ー Vanuatu Cyclone PAM 2015 のFacebookから

バヌアツ、サイクロン被害。先週末からこのブログでの追ってきたが、現地対策本部も機能し、仏、豪、NZ 軍も被害の大きいタナ島に100人規模ではいり、今日には豪州ビショップ外相、また日本の薗浦健太郎外務大臣政務官も近日バヌアツに入るようである。

バヌアツ、良くも悪くも豪州のバックヤード。日豪の協力は欠かせない。

今後、日ごとに更新される状況は当方のFacebookの方でフォローし、こちらのブログにはまとまった情報を出していきたいと思います。Facebookは暫く公開にします。

そんな中、気になっていたのが日本からの支援のあり方。

現地政府特に日系官僚Benjamin Shing氏はNGOの勝手な行動に警告を出していた。谷口正弘さんという方がFBを公開にしてそこら辺をまとめている。長いが、下記にコピーします。

もう一つ気になったのが、先日記者会見もした相川氏のバヌアツ親善協会。

谷口さんもコメントを出している「バヌアツ サイクロンPAM 情報局」FBを立ち上げたようなのだが、同親善協会の組織運営を批判するコメントがいくつか出て来て、管理者によって削除されている。また先日下記の管理人のコメントが出された。

「このグループ上では、特定の団体の支援について議論をするのは避けたいと考えています。(中略)なお今後、上にお伝えしたような書き込みがされた場合は、管理者が責任をもって判断した上で、必要であればコメント非表示にするなどの対応をさせていただきます。」

バヌアツ親善協会のウェッブには確かに組織や活動報告が見当たらず、疑問が出てくるのもわかる。

また早速バヌアツ首相インタビューを作成し,同協会に寄付しろと言わせるのも若干疑問がある。

しかしながら、同協会を実質的に運営するThe Melanesianというホテルはバヌアツの老舗。相川さんの嫁ぎ先。相川さんも確かに災害援助は素人なのだろうが、精一杯やっていらっしゃるのだと思う。

私も現地でお会いしました。

ここは批判、非難を糧にして、NGOとしても大きく飛躍して欲しい。日本バヌアツ関係を支える重要な現地企業である事は誰もが認めるところであろう。

- - - - 谷口氏のコメント「バヌアツ サイクロンPAM 情報局」FBから - - - - -

3/20付、OCHA Situation Report(SitRep) No.6の抄訳です。

共有歓迎です(共有は私の訳ごとコピペしてください。シェアボタンだけでは英語原文が共有されるだけです)。

事実関係の修正(SitRep自体も完璧ではあり得ませんので)、より適切な訳語、誤訳があればお知らせください。

個人レベル、これまでそのようなことを行ったことのない個人/団体、現地に協力者/団体を持たない場合、ニーズに上がっている物資を日本から送ることは控えることを強く推奨します。混乱する現地の混乱を助長し、本来届くべき物資が届かない、遅延することになります。文中、および https://www.facebook.com/masahiro.taniguchi.54/posts/808650832550759?notif_t=like

でも書きましたが、すべての物資援助は国家災害管理室NDMOを通す必要があります。

以下、抄訳;

「3/20付OCHA SitRep(Situation Report) No.6

No.5から大きな変化があったものを中心に。

概要;

-死者16名

-避難所に3995人が避難

-食糧配布対象;11800世帯

-22の島でバヌアツの人口の半分以上の16.6万人が被災。22の島は以下;Maewo and Pentecost (Penama Province); Ambrym and Paama (Malampa Province); Epi, Tongoa (Sheperd Islands (SH)), Emae (SH), Buninga (SH), Tongariki (SH), Shepherd islets (SH), Ifira, Nguna, Pele, Emao, Mosso, Lelepa (Shefa Province); Erromango, Tanna, Aniwa, Aneityum, Futuna, Efate (Tafea Province).

-被災した諸島ではあと2-3週間で水と食糧がなくなる見込み。特に水はあと数日でなくなる見込み。清潔な水が必要。

-バヌアツ政府主導の関係機関による合同被害調査は20日に終了した。

-Emae島とPentecote島の東部の集落へはアクセスできていない。

-住民の居住の50-90%が被害を受けていると推測される。

-バヌアツ全域で燃料が枯渇しつつあり、また電気もほとんど復旧していない.発電機が必須。

-約6.5万人に緊急シェルターが必要。

-500校が被害を受けているとみられる。学校の再開は3/30まで延期。5-7万人分の学習スペースが必要。

-諸島の空港、港は運用されているが、島の内陸には通行できない道がまだある。道路啓開のためのチェーンソーとその燃料が必要。

-22島での農作物被害は甚大。特にココナツとバナナのプランテーションは甚大で、これは長期的な悪影響をもたらす。本島以外の島の住民の99%は自分が作る農作物をじぶんのたちの食糧としてきた。またCopra(ココナツを乾燥させたもの)といった農作物、家畜を失っており、収入も絶たれる恐れあり。

-医療施設も被害を受けているが、現在までのところ感染症の発生報告はない。

・シェルターマネージメントクラスタ

-避難所となっている学校に避難している人に対しては、家を修復するキットを配布することで、帰宅と家の修理を促す予定。これは学校の再開のためである。

-20日に避難所管理グループが立ち上がった。責任の調整、援助物資の配分、活動の計画/モニタリングと評価を行う。

-バヌアツ保健省とヘルスクラスターが避難所で発生した健康問題を、既存の医療システムに知らせるように奨励している。

・ フードセキュリティクラスタ

WFPは16.6万人に食糧援助が必要と見込んでいる。

バヌアツ政府は87万米ドル相当の現地で入手できる食糧を購入した。

3/26までに16.2万人に食糧パッケージを配布する計画。パッケージ内容;米、肉の缶詰5個(最も被害が大きい地域ではプラス魚缶5個)、ヌードル10袋等25kg。

フードパッケージと一緒に現地で調達できる作物の種子と用具も配布される予定。

食糧配布を告知するため2万枚のパンフレットが印刷された。

・ ヘルス・栄養クラスタ

食糧と水から発生する疫病を防止することが最重要。(他はNo.5と同じ)

14個の海外からの医療チームが登録を完了し、24時間以内にTannaとAmbrymに展開予定(※すべてのチームが行くかどうかは本Sitrepからは不明)。

Medvac(医療搬送medical evacuation)が3件あった(2件はTannaからのもの、また1件はフランス(おそらく軍)によってVila Central Hospital(VCH)へ搬送された。

ヘルスクラスター内に医療関係を調整するヘルス・サブロジクラスターが立ち上がった。NDMOのロジクラスターと連絡・調整を行う。

Port Vilaの避難所(1カ所)での麻疹の疑い症例を調査中。

20日にNGOのMedical Santoが医薬品が尽き書けているNorthern Province Hospitalに医薬品を届けた。

AUSMATチーム(豪州医療チーム)はバヌアツ保健省から被災地全域の医療支援を行うよう任務付与された。

保健省の看護師からなる6つのチームがPort Vila周辺の村落に麻疹、ポリオ、破傷風のワクチン接種のために派遣された。同時に迅速調査を実施、ベッドネット(※蚊帳のことか?)配布、健康についての啓発を実施した。

田舎地域の被害調査がまだ完了していない。

保健省は以下を検討中;薬等の医療品のニーズ、マラリア対応のニーズ。

・ WASHクラスタ

ShefaとTafeaの人口の60%が安全な飲料水にアクセスできていない。

赤十字UNICEF、Trade Tool社(地元のハードウエア店)とNZ援助庁が容量1万リットルの簡易水槽1基と10リットルのポリタンク2000個のShepherd諸島への輸送を調整中。

UNICEFは1500リットルから1万リットルまで容量調整が可能な簡易水槽35基を購入した。

・ ロジクラスタ

フィジーから5個のコンテナが輸送準備完了、3/26に到着予定(※おそらく海上輸送)。内容はヘルス、WASH、教育、児童保護のための資機材。

事前備蓄されていた資機材が航空輸送でPort Vilaへ到着した;経口補水塩パケット(OR)、亜鉛タブレット、ビタミンAタブレット等。さらに20日支援物資がフェリーでTannaに到着予定。

輸送に動員できる軍事アセットは以下の通り;

豪州:C−17大型ジェット輸送機2機、C−130中型プロペラ輸送機1機、ベル社製のヘリ2機(※機種不明だが、おそらく中型ヘリと推測される)、P−3対潜哨戒機2機(※おそらく上空偵察、物資/人員輸送に使用)、S-70ブラックホーク中型汎用ヘリ2機、強襲揚陸艦Tobruk1隻(MRH-90中型ヘリ1機搭載)、修復のための軍工兵部隊100人(23日到着予定)、南方諸島への物資輸送のための上陸用舟艇2隻

NZ:ビーチキングエア小型哨戒機1機。多目的艦(揚陸艦)カンタベリー1隻(※おそらくSH-2中型ヘリ1−2機を搭載していると推測される)は物資を積んで25日に到着予定。

フランス(ニューカレドニア駐留部隊):CASA CN-235型小型輸送/哨戒機2機はニューカレドニアのヌメアNoumeaとTanna間を飛行している。

英国;C-17大型ジェット輸送機は現在豪州クイーンズランド州のAmberley空軍基地で待機中。

日本;自衛官4名、ただし使用可能な軍事資源は持たず。シビルJDR医療チームと同行している。

UAEはドバイにあるWFPの国連人道支援物資備蓄庫(UNHRD)から80トンの物資を搭載した B747型機の(※おそらくチャーター機)輸送費用を拠出した。物資はWFPSave the children,World Vision, ADRA,Lutheran World Reliefのもの。

援助機関は輸送と配布の情報を vanuatu.stock@gmail.com に伝達すること。すべての援助物資の提供の申し出は緊急オペレーションセンターのロジチームによる事前アセスメントのために ndmo.logistics@gmail.com に送ること。」

以上

原文

http://reliefweb.int/report/vanuatu/vanuatu-tropical-cyclone-pam-situation-report-no-6-20-march-2015