読売新聞の高沢剛史記者からご連絡をいただいたのは1月中旬の事だ。
ミクロネシア連邦チュック州に沈んだ日本船の油流出問題。このブログ見て連絡をした、という。
南の楽園の島は、そのイメージとは対称に、毎日取り上げきれない程の記事、ネタがある。
”ああ、あの件か。”
記憶を辿りながら対応したが、電話を置いてから過去のブログを確認した。
ミクロネシアの海洋汚染 - 日米に届くか小国の声
http://blog.canpan.info/yashinomi/archive/539
PIF総会への日本の参加
http://blog.canpan.info/yashinomi/archive/436
そうだ、ミクロネシア閣僚から直接問い合わせをいただいたのであった。
そして民主党政権の山口壯外務副大臣が下記のようにPIF総会で述べ、外務省大洋州課も前向きな反応を”珍しく”示した件であった。しかも米国がキャンベル国務次官補始め50名も送ったPIF総会でのコメントだった。
「ミクロネシア連邦は,第二次世界大戦中に沈没した船からの油漏れによる環境汚染に対処すべく,国際社会に対し支援要請を行っている。国際社会がこの要請に前向きに対応することを期待。我が国としても,環境問題として,どのような支援が可能か検討していきたい。」
大きな案件である。動きがあれば記事になっている。その後この件は見当たらなく気になっていたが、高沢記者の連絡を受け、立ち消えになっている事が確認できた。
外務副大臣の国際会議での声明である。どのように消されてしまったのだろうか?
高沢記者から再度連絡をいただいた時はコメントが欲しい、という事だった。
今度の島サミットの議案には海洋管理が入るが、油流出だけでなく、広い海洋管理の視点からの支援が必要と述べたかった。
こういう時SNSは便利だ。削られる事を覚悟で書いたコメントが下記。
高沢記者に送ったコメントをコピーする。
- - - - - - -
高沢様
拝復、
パラオでのJMASの活躍、そして天皇皇后陛下のパラオ訪問は、これらの地域が日本とは未だに関係がある事を語っています。
ミクロネシア、サモア等の島嶼国はウィルソンがself-determinationをパリ講和会議で訴えたときも、独立は不可能と認識。c式統治、となったわけです。
WWII後は米国が、ソ連の圧力で渋々独立を認めたのですが、自分たちの安全保障上、完全に自立させようという気はなく、従属を強める政策を取ってきました。
「トラック島の油問題」の実態はブログに書いた範囲でしか知りませんが、これに限らず、バヌアツのサイクロン被害も、何にしても自分たちだけではやっていけない規模の国家である、という現実があります。
ここら辺はEHカーが『平和の条件』で議論しています。
http://blog.canpan.info/yashinomi/archive/857
カーの言うように「軍事経済力の裏付けがない小国は存在してはならない。民族自決を否定はしていない。しかしそれを国家と結びつけるのは現代では無理がある。」(これは私の理解)という事だと思います。
しかし、国家を辞めろ、とも言えないので、それは国連が定めた本来の「自由連合協定」の形で存続するのがベストだと思います。
現在米国とミクロネシア3国が締結しているのが、冷戦構造下の協定なので、当該地域に戦略的関心を失った米国の支援の手が離れつつあります。そこに入り込んでいるのが中国です。
ミクロネシア3国に関しては日米が(本来の)自由連合協定のような枠組みで、特別なケアが、特に海洋管理などの安全保障と経済面での支援が必要と考えています。
早川
- - - - - - -
大手新聞社の記者がこのブログを参考に取材、記事を書く。しかもかなり大きな扱いだ。こんな光栄なことはない。このブログを続けていてよかった。高沢剛史記者、ありがとう。
これからも戦後70周年という視点から取材を続けるという。このブログが引き続きお役に立てば幸いです。