やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ミクロネシア連邦日本カツオ漁船拿捕の顛末(続き)

2008年、ミクロネシア海上保安事業を立ち上げようとした時の米豪の反応が忘れられない。

クリストファー・ヒル国務次官補

「日本が海洋監視活動?この前日本漁船が捕まったばかりだよ。まあ頑張ってね。」

豪州在ミクロネシア連邦大使

「日本漁船拿捕のためにミクロネシア連邦警察に日本語を教えたどうかしら?」

日本漁船ってそんなに悪者だったのか?

と、ショックで、なるべく漁業からは離れようと努力したが無駄であった。

そしてわかった事は豪州海軍も米国沿岸警備隊も違法操業取締を知らない。全くやっていなかった、という事である。

だから、正式に登録し、高い入漁料を払い、なおかつVMSを搭載し、さらにはPNAの監視員を漁船負担(繰り返しますが飛行機代から長靴代まで)でご招待している日本漁船しか拿捕できないのだ。

パラオ政府が先日見せしめで燃やした、ほんまもんの密漁漁船はその存在すら、水産庁取締船が入るまで知らなかった!

で、ミクロネシア連邦のエイプリル・スキリング前司法長官はどんな嫌疑で日本漁船を拿捕し億の示談金をせしめたのか?

漁船から数個空き缶を捨てた罪だそうです。

しかもPNA監視員は空き缶を捨てる現場を目撃したのではなく、船内の空き缶置き場にあった空き缶がなくなっているので、海上に捨てたのだろうと憶測。海洋汚染の罪で1億円の示談金。

噂によると、日本漁船を拿捕したミクロネシア連邦の警察官達は、船からペットボトルを投げ捨てたり、漁船の冷蔵庫をあさったリ、とどっちが罪人か?と思うような行動をしていたという。

それだけでなく、日本漁船のコック長の食事が美味しかったらしく、人の2倍は食べ、さらに食事時間には誰よりも早く顔を出していた。。

ほんまもんの密漁漁船。ピストルをダイナマイトを隠し持っています。

日本漁船のようにおとなしく拿捕され、しかもごちそうを提供しません!

億単位の示談金なんて夢の夢。

逆に島嶼国が食事を用意し、健康管理をし、帰国の世話をしなければなりません!

そりゃあスキリング前司法長官が、豪州王立海軍が、米国沿岸警備隊が、日本漁船に目をつけるのは、納得できます!

昔日本に拘束されたシーシェパードのメンバーが「天ぷら食べたい」とか言っていた事を思い出した。

日本漁船しか拿捕できない、しない、豪州海軍、米国沿岸警備隊当たりはメンタリティがシーシェパードと同じと考えておいてよいであろう。この方たち漁業の事知りません。断言します。

ミクロネシア連邦政府エイプリル・スキリング前司法長官の国家権力を利用した、理不尽な法執行。シーシェパードのワトソン君もひれ伏すに違いない。