やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ヒラリーのスピーチと安保法案

2008年5月、ミクロネシアの海洋安全保障事業を立ち上げて以来、日本が、広義の安全保障の枠で太平洋に出て行く事を意味を、通奏低音のように考えていた。

 

【私のせいで、太平洋の安全保障レジームが変わるかもしれない。】

妄想と思われようが本気で動いて来たのです。

 

通奏低音に変化を与えたのが2010年1月、ヒラリー国務長官がハワイで行ったスピーチ。未だ印象に残っており、今回の安保法案採決を受けて今一度読み返したいと思い探した。

ヒラリーはこのハワイでのスピーチの後、太平洋島嶼国を、まさにアイランドホッピングをする予定であったがハイチの地震で中止となってしまった。

Clinton's Remarks on Regional Architecture in Asia, January 2010

Secretary of State Hillary Clinton gave this speech at the East-West Center in Honolulu, Hawaii on January 12, 2010.

https://2009-2017.state.gov/secretary/20092013clinton/rm/2010/01/135090.htm

 

このスピーチにはルース駐日大使と日本の藤崎大使も出席されている。

その事だけでも米国の重要な安全保障政策を示す場であったと言えよう。

 

クリントン長官のスピーチの中で

日米豪、日米韓、日米中、日米印

の4つの三国協議が提案されている。

これは6年前には気づかなかったが、日米は常に一体、という意味だ。

 

当時気になったのは下記のセンテンス。”free riders and minimalist contributions”に日本が入っているのであろうか?と考えた。

Systems that reward free riders and minimalist contributions are designed to fail.

 

このスピーチが発表されたとき、日本は民主党政権であった。豪州は親中のラッド政権だった。ハイチの地震でクリントン長官の太平洋訪問は中止。確か同年の後半に延期されたはず。

そして日本は大地震に襲われる。しかしここで日米の軍事力の必要性が確認されたのかもしれない。

 

キーティング司令官もその2009年9月に太平洋の安全保障を語り、日本の参加は日本政府次第だが、日米は既に協力関係にある、と明言している。

 クリントン長官のハワイでのスピーチから5年が経ったが、今回の安保法案で日本領域内だけでなく、太平洋への一歩を踏み出すきっかけになるのであろうか?

そこへの道は、私が、キーティング司令官のメッセージをしっかり受け止め2008年から構築している。